厚底シューズ「東京五輪OK」に桐生祥秀が不満を漏らしたワケ

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 陸上長距離の記録ラッシュを演出したナイキの厚底シューズ。その使用の是非を検討していた世界陸連がこのほど“東京五輪OK”の裁定を下した。

 めでたしめでたし、と言いたいところだが、

「むしろ混迷を深めつつあります」

 とスポーツ紙陸上担当記者が眉を顰める。

 新ルールは、「靴底の厚さは4センチ以下」「靴底に埋めるプレートは1枚まで」と、ここまではいいのだが、もう一つ、「市販されて4カ月経たもの」なる制限が加わった。つまり“特注品NG”となったのだ。

「高橋尚子や野口みずきが金メダルを獲得した際の靴は、アシックスの名匠、三村仁司氏の手によるもの。今後このようなオーダーメイドは姿を消しそうです」

 ナイキが問題視されていたというのに、なぜか“非ナイキ”の靴職人たちがお咎めを受けた格好である。

「ナイキ派の選手は胸を撫で下ろしたでしょうが、“非ナイキ派”は計画変更を余儀なくされます」

“非ナイキ”といえば、先の大阪国際女子マラソンで優勝した松田瑞生(24)。東京五輪内定が有力視される彼女は、まさに三村氏が手掛けたニューバランス製の靴を履いている。大丈夫なのか。

「世界陸連によると“医学的理由によるカスタマイズは可”とのこと。外反母趾の松田は救済される見通しです。ただ、“医学的”の線引きが不明確。診断書なんてどうにでもなるわけで、早晩ルールがなし崩しになってしまいます」

 そもそも、市販品と特注品だって線引きは難しい。

 しかも、新ルールはマラソンだけでなくトラック競技にも適用されるという。

「試作品の新スパイクで練習中の桐生祥秀(24)を指導している土江寛裕コーチは“問題の本質がずれてないか?(略)世の中が一件落着感があるのも理解不能”とツイート。桐生本人も“各社がいろんなアイデアや選手のためにやってることを無にするのもどうかと思う”と不満を漏らしています」

“厚底ウイルス”の猛威。

週刊新潮 2020年2月13日号掲載

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