民放キー局共同番組「合計視聴率29%」が表すテレビの衰退

エンタメ

  • ブックマーク

Advertisement

 自身が司会を担当し、企画・主演する番組が軒並み高視聴率を叩き出し、その実績からか萩本欽一(78)は「視聴率100%男」といわれた。それから三十余年、民放キー局が手を繋ぎ、大々的におこなった五輪宣伝番組の次第はというと……。

 1月24日午後6時40分、テレビを観ていた方は驚いたかもしれない。民放キー局5社が共同で五輪宣伝番組を放送し、どの局にチャンネルを合わせても全く同じ映像が流れたのだ。

「日テレは桝太一アナ、TBSは安住紳一郎アナなど、各局イチオシのアナウンサーが出演し、五輪応援ソングを歌う桑田佳祐氏と中継を繋ぐなどしていた。大手広告代理店の電通の仕掛けで、CMも全局で完全に一緒にさせるこだわりようでした」(テレビ局関係者)

 終わってみれば、合計視聴率は29・2%。一瞬高そうな数字に映るが、平日のゴールデンタイムに差し掛かる時間で5社の合計、と考えれば見方が変わる。

「図らずも、テレビの衰退ぶりを示す数値になりました。エース級のアナを揃えても7割以上の人が民放を観ておらず、前番組からの視聴者を引き継いだだけと判った。実験的な試みとはいえ、制作チームでは落胆の声も上がっています」(同)

〈一緒にやろう2020〉という、なんのひねりもないメインテーマにも驚くが、

「五輪を盛り上げることを義務化する雰囲気を作る悪手な企画ですね」

 とは評論家の唐沢俊一氏。

「“ONE TEAM”は、多様性を認める理念あっての言葉ですが、この企画は画一主義。似ているようで真逆の発想です。SNSや配信サービスが増え、自分で好きなものを選ぶスタイルが定着している現状が、テレビ屋にはまったく見えていないんだと驚きました」

 ワンチーム丸ごと倒れないようご注意あれ。

週刊新潮 2020年2月6日号掲載

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。