宍戸錠が義妹「ちあきなおみ」に残した遺言「君は歌うために生まれてきた」

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「エースのジョー」の愛称で知られるアクションスターの最期は孤独死だった。

 1月21日、東京・世田谷区内の自宅で俳優の宍戸錠が息を引き取った。享年86。

 日活ニューフェイスの1期生だった宍戸は、アクの強さを出すために豊頬手術を受け、赤木圭一郎の代表作「拳銃無頼帖」シリーズや、小林旭主演の「渡り鳥」「流れ者」シリーズなどに出演。

 時に主役を食うハードボイルドな“敵役”として人気を博した。

 宍戸と長年親交のあった作家・矢作俊彦氏は言う。

「ジョーさんは奥さんとの死別で身体半分、自宅の火事でもう半分を失ったように思う。奥さんの死後は夫婦の寝室を使うのが嫌でキッチンテーブルの下で寝ている、と話していました」

 愛妻の逝去から3年後の2013年2月、宍戸の留守中に自宅が火事に見舞われ、全焼したのだ。47年住み続けたその一軒家には、亡き妻との思い出が詰まっていた。

 矢作氏は宍戸と共にその焼け跡を訪れている。

「最後に電話をしたのは去年の夏頃。ふたりで話していると、ジョーさんはいつも僕を面白がらせようとするんです。焼け跡にご一緒した時も、“ハジキ(拳銃)が見つかったらヤバいな”とかね。“何かおかしいと思ったら、やっぱりな。CIAが火をつけたんだろう”なんて言うわけです。当時はかなり落ち込んでいたけど、それでもいつも通りに振る舞っていました。ただ、数年前に両足首を骨折してからは、以前のように走ることはできなくなっていた」

 宍戸は妻だけでなく、弟の郷えい治とも1992年に死別している。未亡人となった義妹は、「喝采」などで知られる歌手のちあきなおみである。だが、芸能記者によれば、

「宍戸が郷のがん闘病をテレビで明かしたことで、ちあきとの関係が冷え込んだ。宍戸が主催した郷を偲ぶ会にも、ちあきは姿を見せませんでした。宍戸の自宅が焼け落ちたときも見舞いの言葉はなかったそうです」

 宍戸は生前、本誌(「週刊新潮」)のインタビューで義妹への思いを明かしている。

〈君は歌うために生れてきた。頼むから歌ってくれよ。それが俺からちあきへの遺言だと思ってくれ〉

 だが、静かに暮らしたいちあきはそんな願いを遠ざけた。ふたりは絶縁状態だったという。

 いつか遺言は届くのか。

週刊新潮 2020年1月30日号掲載

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