ゴーンに人生を狂わされた元社員たち 経営手腕などなかった“虚飾のカリスマ”

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バランスを失している

 ゴーン弁護団も、恨めしい眼差しを元の依頼人に向けたいはず。なにせ日本の刑事司法を揺るがす大失態を演じさせられたのだ。ところが“無罪請負人”弘中惇一郎弁護士の表情は能面のように変わらない。法曹界からは、「一言でも謝罪めいた言葉があってもいいのでは」「責任を感じていないのか」との声が上がり……。元東京地検特捜部検事の高井康行弁護士は言う。

「弘中弁護士を含む弁護団の態度は無責任な振る舞いに見えます」

 それは道義的な説明責任を果たしていないためで、

「弁護団は監視カメラを設置するなど特殊な保釈条件で保釈を勝ち取りました。しかし、逃亡を許してしまった。なので弁護団は、保釈条件がどう履行されていたかなどを守秘義務に反しない範囲で、きちんと説明すべきだと思います。結果的に被告を日本で裁けない状況を招き、世界に恥を晒すことになったのですから」

 なのに、なぜあんなに偉そうにしているのか。元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士が語る。

「弁護士は各々がスタンスを持っています。弘中弁護士は“毅然とした対応をする”とのスタンスを貫いているだけだと思います。ゴーンの弁護人に就いた際には大々的に会見していました。そういった晴れの舞台だけ出て、今回のように追及される立場になったら会見しないのは、バランスを失しています」

 弘中弁護士は、検察からゴーンが使っていたパソコンの提出を求められても、刑事訴訟法の「押収拒絶権」をタテに返り討ちにしてもいる。黙したままでは逃亡の協力者の汚名を雪(すす)ぐことができないのも確実だ。

週刊新潮 2020年1月30日号掲載

特集「血の滴る赤ワインで祝杯! 『雌ライオン』と呼ばれた『ゴーン夫人』略奪愛の履歴書」より

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