イランの“反政府デモ”がかなりヤバい、イラン国民とアメリカが本気で考えていること

国際 2020年1月27日掲載

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デモ参加者をCIAが支援

 ガソリン値上げテロが反政府テロに変化していった背後には、アメリカの影もあったという。

「例えばイラクと国境を接している西部では、アメリカCIAの関係者がデモの参加者に大量のドルを渡すなどの支援を行ったことが分かっています。とはいえ、自らの決断でデモに参加した若者も少なくありません。制裁による経済の閉塞感が我慢の限界に達し、秘密警察に監視されるなど自由の全くないイラン社会に怒りを覚えての抗議行動と見るべきでしょう」(同・佐々木氏)

 このデモにイランの治安部隊が発砲するなどの強攻策で弾圧を図り、死者は100人から1000人と様々に報じられた。正確な被害者の数は現在でも不明だが、かなりの犠牲者が出たのは間違いないようだ。

 ところが反政府デモは、一時期は収束に向かう。それは1月3日、アメリカが無人攻撃機でカセム・ソレイマニ司令官(1957~2020)を爆殺したからだ。イランは反米一色となり、デモどころではなくなってしまう。

 これでイランは政府も国民も反米で団結するかと思いきや、事態は意外な展開を見せる。

 1月8日に首都のテヘランでウクライナ機が墜落し、乗客乗員176人全員が死亡。政府は11日になって、ミサイル誤射で撃墜してしまったと発表するのだが、これで再び反政府デモが激化してしまう。それで冒頭で見ていただいたようなニュースが、世界を駆け巡ったというわけだ。

「反政府デモの参加者は、どうしたら欧米が自分たちの行動に注目してくれるかということを常に考えています。何の罪もない乗客を死亡させながら、イラン政府は充分に謝罪しているとは言い難い。そこで自分たちが先頭に立って政府を糾弾すれば、欧米をはじめとする国際社会は応援してくれるはずだと見ているのです」(同・佐々木氏)

 このデモに、イランの“旧王家”も注目している。AFP通信は1月18日(日本語電子版)、「米に亡命の元皇太子『イランの現体制は数か月以内に崩壊する』」の記事を掲載した。

《革命で退位に追い込まれたイランの故パーレビ(Mohammed Reza Pahlavi)国王の息子、レザ(Reza Pahlavi)元皇太子(59)が15日、亡命に近い生活を送っている米国で記者会見に出席し、イスラム教最高指導者が率いるイランの現在の体制は数か月以内に崩壊するだろうと述べ、欧米の主要諸国に対してイラン政府と交渉しないよう促した》

 イランは1925年から1979年まで、最後の王朝となったパフラヴィー朝が統治していた。最後の皇帝はモハンマド・レザー・パフラヴィー(1919~1980)。日本では「パーレビ国王」と表記されることが多く、上記の記事も同じだ。

 パーレビ国王は親米路線を選び、女性のヒジャブを禁止するなどの“脱イスラム化”、“上からの改革”を推し進めるが、これに国内のイスラム教保守派が激しく反発する。

 70年代には国内経済が低迷し、政権では汚職が横行。フランスに亡命していたホメイニ師(1902~1989)がイラン国内の反政府運動を指示したほか、イラン共産党の指導で国内ではデモやストライキが頻発した。

 結局、パーレビ国王はエジプトに亡命。その後、がん治療の名目でアメリカに入国する。イランの学生らは反発し、アメリカ大使館を占拠してしまう。

 現在では「イランアメリカ大使館人質事件」と呼ばれ、この事件を題材として映画「アルゴ」(ベン・アフレック監督、2012年、ワーナー・ブラザース)が製作された。アカデミー賞の作品賞を受賞するなど高い評価を受けたのは記憶に新しい。

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