早くも「ワースト謝罪会見候補筆頭」 河井議員夫妻の会見をプロの目で徹底批判

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 いったいなぜ? 何のために? 

 多くの国民に「?」と怒りがわいたに違いない。

 公選法違反の疑いで自宅が家宅捜索された自民党の河井案里参議院議員と、その夫の河井克行前法務大臣が、ようやく公の場に顔を出して謝罪の言葉を口にした。昨年10月に問題が指摘され、河井氏が法相を辞任してから初めて取材に応じたことになる。

 しかしながら、その内容は誰の心にも響かないものだったようだ。会見を報じるメディアは一様に厳しい。

 危機管理コンサルタントの田中優介氏は、新著『地雷を踏むな』の中で、「許されない謝罪」とはいかなるものかを詳しく解説している。プロの視点から、今回の会見を分析してもらった。

「著書でも挙げたのですが、許されない謝罪としては、(1)遅い謝罪、(2)時間足らずの謝罪、(3)あいまいにボカした謝罪、(4)言い訳や反論まじりの謝罪、(5)ウソと隠蔽まじりの謝罪、(6)贖罪のともなわない謝罪、があります。

 今回の河井ご夫妻の場合、ほぼすべての要件を満たしている、と言っても過言ではありません。

 順番に見てみましょう。

(1)は言うまでもありませんね。10月の問題発覚から1月まで会見をしないというのはあり得ないことです。

(2)も立ち話のような形での会見ですから、時間が足りない。滅多打ちになるような覚悟がまったくない。それでは反省は伝わりません。

(3)(4)については、よくあるパターンですが、『捜査中』を理由に、具体的なことをまったく語っていません。そもそも捜査を受けるような身になっているから会見を開いているのに、その捜査を言い訳に使っているわけです。これで同情を買えるはずがない」

 前法相の「支持者の皆さまには大変なご迷惑とご心配をおかけしたことに深くおわびします」という言葉は、(3)の典型かもしれない。問題は「ご迷惑」「ご心配」ではなく、「法律を破った疑い」があることと「その説明責任を逃れ続けたこと」に他ならないのだ。

「(5)については、捜査中のことなので、私の立場で何が嘘だなどとは言えません。ただ、捜査中だからといって、自身の主張を口にしては絶対にいけないなんてことはないはずですから、具体的な説明をしないと、普通は隠蔽しているように思われても仕方ありません。

 そして、お二人とも辞職も離党も考えていないというのですから、(6)贖罪の伴わない謝罪の典型になっています。

 もともとの容疑となっているウグイス嬢への日当については、決まりとされている金額が安すぎるのでは、といった声もありました。だから説明や謝罪を誠意をもって早期にすれば、ここまでの反発は買わなかったかもしれません。

 結局、何のためにこのタイミングでわざわざ顔を出したのかがまったく不明です。ここまで悪条件がそろっていれば、当然、火に油を注ぐことになるわけで、危機管理の観点から言えば0点以下。1月にして今年のワースト謝罪会見候補だと思います」

 河井前法相は、菅官房長官と近い関係にあったと伝えられている。内閣の要、危機管理を得意とすると言われていたはずの菅氏は、かつて会見での対応が鉄壁だと評された時期もあったはず。窮地の部下にアドバイスをしてあげられなかったのだろうか。

デイリー新潮編集部

2020年1月22日掲載

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