楽天、監督は更迭、生え抜き2人は移籍… 2020年の注目は「古巣との因縁対決」

スポーツ 野球 2020年1月6日掲載

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 球団史上初の生え抜き監督で、松坂世代、及び1980年代生まれの世代でも初の快挙となる平石洋介監督が指揮をとった2019年の楽天。則本昂大、岸孝之の両エースを故障で欠きながら、開幕直後の4月10日に単独首位に浮上すると、6月下旬まで首位争いを繰り広げ、前年最下位のチームを見事2年ぶりのAクラス(3位)に押し上げた。だが、CS敗退直後の10月11日、球団は三木肇2軍監督の新監督就任を発表し、平石監督はたった1年で実質解任。ファンの間からも「なぜ?」の声が上がった。さらに、入団以来チームをずっと支えてきた生え抜きのベテラン2人もシーズン後、相次いでチームを去った。

 テレビやネットで大きな反響を呼んだ心温まるシーンが見られたのが、5月2日のソフトバンク戦(福岡ヤフオクドーム)だった。1点をリードされた楽天は、5回裏2死満塁のピンチに古川侑利が踏ん張り、松田宣浩をバックネット方向への捕邪飛に打ち取った。だが、打球を追う捕手・嶋基宏に、後方の牧田匡平球審が行く手を遮る形になった。行きがかり上、嶋も立ち止まるわけにはいかない。牧田球審は突き飛ばされるようにして仰向けに倒れ込み、頭と背中を強打した。

 嶋はそのまま打球を追いつづけてキャッチすると、すぐさま牧田球審のもとに駆け寄り、「大丈夫ですか?」と心配そうに抱きかかえた。幸い大事に至らず、牧田球審は苦笑いしながら起き上がり、「アウト!」をコールしたあと、グラウンドに落ちていた帽子とマスクを拾い上げた。熱戦のさなかの珍ハプニングに、スタンドから笑いが起き、ほのぼのとしたムードも漂った。

 嶋の紳士的対応は、ネット上でも「流石、嶋」「嶋王子が牧田姫を抱えた」など大反響を呼び、同5日の「サンデーモーニング」(TBS系)に出演した張本勲氏も「“あっぱれ”でしょう。こういうプレーを見ると、うれしいね」と絶賛した。

 だが、その後、嶋は腰痛の影響で打率2割9厘、盗塁阻止率1割未満と攻守に精彩を欠き、減俸制限を大幅に超えるダウン提示を受けると、「人生一回きりなので勝負したい」と自由契約を申し出、ヤクルトに移籍。「自分の中で宝物にしたいと思います。本当にいい13年間だった」の言葉とともにチームを去った。

 2011年の東日本大地震に際し、「見せましょう、野球の底力を」と復興支援の名スピーチを行ったナイスガイの退団は、みちのくのファンにとっても残念な一事だった。

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