エンターテイナーに165試合連続無敗の投手…日ハム“躍進のカギ”を握る個性派4人衆

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センターゴロで2打点の珍事

 164試合連続無敗の日本記録保持者だった巨人・高木京介が6月14日の日本ハム戦(札幌ドーム)で敗戦投手になり、ついに記録が途切れたあと、代わって日本記録を更新したのが、かつて巨人で高木と同僚だった公文克彦だ。

 8月27日の西武戦(釧路)、2対2の6回表無死満塁のピンチに3番手として登板した公文は、金子侑司を遊ゴロ併殺打に打ち取ったが、この間に1点を勝ち越される。さらに回またぎの7回にも2点を失い、2対8と大敗する原因をつくるが、敗戦投手は6回に満塁のピンチを招いた2番手・玉井大翔についたため、皮肉にも高木の日本記録と肩を並べる結果に。

「記録は出たけど、結果は良くなかった。(次は)ゼロで抑えて更新したい」と雪辱を期した公文はそれから2日後、同29日の西武戦(帯広)で1対4の7回表に2番手として登板。先頭の秋山翔吾を一ゴロ、源田壮亮、森友哉を連続三振の3者凡退に打ち取り、公約どおり、無失点で165試合連続無敗の日本記録を達成した。「この間と違って、3人で抑えられて良かった」と安堵の表情を見せた公文は、「174」まで記録を伸ばし、2020年はさらなる更新を目指す。地味な記録だが、リリーフ陣の中に日本記録保持者がいることも、チームの大きな活力になるはずだ。

 センターゴロで2打点を挙げる珍事が起きたのが、8月25日のオリックス戦(京セラドーム大阪)だ。0対0の3回、日本ハムは1死満塁のチャンスで、3番・近藤健介がセンター後方に大飛球を打ち上げた。

 宗佑磨がジャンプしながら懸命にグラブを差し出したが、打球はグラブをはじいて、フェンスを直撃。三塁走者・清水優心、二塁走者・西川遥輝が相次いで生還した。ところが、一塁走者の大田泰示は、宗が直接捕球したと勘違い。一塁塁審が両手を広げて「インプレー!」とジャッジする姿も死角になって見えなかったことから、すでに二塁ベースを回っていたのに、慌てて一塁へUターン。直後、内野にボールが転送され、二封アウトに。この結果、近藤の先制2点タイムリーは、中ゴロと記録された。

 だが、近藤は「センターゴロは人生初。でも、勝ったので良かったです」と安打を1本損したことよりも、チームの勝利に貢献できたことを喜んでいた。

 2019年は自己最多の138試合に出場し、リーグ6位の打率3割2厘を記録するとともに、自身初のタイトルである最高出塁率(4割2分2厘)も獲得。2020年は、3番・近藤、4番・中田翔の中軸が威力を発揮すれば、“個性派軍団”の4年ぶりの頂点も見えてくるだろう。

久保田龍雄(くぼた・たつお)
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍「プロ野球B級ニュース事件簿2019」上・下巻(野球文明叢書)

週刊新潮WEB取材班編集

2020年1月4日掲載

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