女子トイレ使用で勝訴の経済産業省・性同一性障害職員が語る「割り切れなさ」

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 性同一性障害と診断され、男性のまま女性として勤務する50代の経済産業省職員。心はもちろん見た目も女性そのものなのだが、職場の女子トイレの使用を制限されていた。職員は国を訴え、トイレを自由に使える“権利”を勝ち取ったのである。

 東京地裁で、4年にわたる裁判の判決が出たのは今月12日。職員は、経産省入省後に性同一性障害と診断された。9年前から女性の格好で勤務していたが、経産省からは“女性職員とのトラブルを避けるため”と、職場のフロアから2階以上離れた女子トイレの使用しか許されない。人事院に訴えても埒が明かず、2015年に、国を相手取って慰謝料約1650万円と処遇改善を求める訴訟を起こした――。

 判決は国に132万円の賠償などを命じ、女子トイレの自由な使用を認めた。

「なかなか(性転換)手術を受けないんだったら、もう男に戻ってはどうか」

 という上司の発言を違法とした。それでは、職員本人に語ってもらおう。

「判決には、全体的には満足しています。でも、この“男に戻ったらどうか”という発言で、私はメンタルヘルスを悪くして休職してしまいました。その部分の関連性については認めてもらえなかったんです」

 長い闘いが“勝利”に終わっても、割り切れない部分は残っているようである。

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