豊洲タワマンで内縁夫に3歳息子を虐待され殺された母が書いた「育児本」の中身

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「近所のアイドル」

 不幸なことに、事件当日は男児の母・平石桃子さん(34)が海外出張で不在だった。北米に本社を持つIT企業の日本法人に籍を置く彼女は、世界を飛び回っていたのだ。気丈にも、彼女は事件を受けコメントを出したが、報じられた中で目を引くのは次の一節だ。

〈私が出張に行かなければ、(中略)息子と2人で暮らしていれば、ああしていれば、こうしていれば…。何かひとつでも変えていれば、今も息子は私の腕の中に居てくれたのではないか〉

 自責の念に駆られるのも無理はない。彼女の亡き息子へ注ぐ愛情は格別で、実は2年前に育児をテーマにした本を出版していたのだ。

「彼女は、インスタで息子との日々をイラストとともに綴り、フォロワー数は10万超。それをまとめた初の著書『色気は分娩台に置いてきました。』では、育児の忙しさからヒゲを生やしっぱなしにしてしまうなど、クスリと笑える視点が同世代の親たちを中心に共感を集め、発売後も増刷を重ねました」(出版関係者)

 当時の2人を知る住民はこう振り返る。

「保育園の帰り道、よく親子で手を繋ぎながら歌を歌って帰ってきてね。階段をよいしょ、よいしょって言いながら登る姿が可愛くて、近所のアイドルでした」

 本の内容通り、忙しくも幸せな日々を過ごしていた母子は、その後に渡辺容疑者と出会い、悲劇が起きた。

「東京家族ラボ」を主宰する家族問題コンサルタントの池内ひろ美氏が言う。

「容疑者の男性からすれば、自分の子供の母親になってくれる女性を求めて同居したのに、家事や育児の負担が増えて逆切れを起こしてしまったのかもしれません。一般的な傾向として、連れ子のいる男性だからといって、他人の子の世話まで慣れている人物は決して多くない。シングルマザーの女性は、その点を慎重に見極める必要があります」

 母親の代理人弁護士に取材を申し込んだが、

「何もお答えできません」

 と言うばかり。彼女の信頼を裏切った容疑者は、潔く真相を語るべきだろう。

週刊新潮 2019年12月19日号掲載

ワイド特集「バベルの塔」より

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