「良い不倫」で彼の性格が丸くなり、家庭まで円満になった話

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 許されないと分かっていながら、人はなぜ不倫してしまうのか。不倫している人びとの声から、恋愛指南の著書多数の二村ヒトシがひもといていく。島田祥子さん(仮名・40歳)と中川祐二さん(仮名・42歳)は、都内の病院に勤務するお医者さん同士の不倫カップル。彼らの関係が周囲に与えた意外な影響とは。また、祥子さんが不倫に至るまでに経験した、ある苦難とは。

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仕事順調、相手の家庭も円満のワケ

二村:今の彼と出会ったことで、祥子さんはそれまでまったくいいと思わなかった性の営みを好きになれたと。そこで彼のほうにも変化はありました?

祥子さん:それが、以前はニ股三股当たり前の人だったのが、私と付き合うようになってからはナースに手を出さなくなったみたいなんですよね。何でなのかは分からないんですけど。

二村:ああ、それは、言う場所をまちがえたら「ノロケだ」とか「いや、きっと祥子さんにバレないように今もやってるよ」とか言われてしまいそうなご発言ですが(笑)。

祥子さん:まあ、たしかに私の主観だっていえばそうなんですけど。確認できることでもないですし。ただ最近、彼のせいでナースが精神的に病んで元気なくなるとか、彼に手を出されたナース同士でバチバチすることがなくなって、職場は今までになく平和です。病院にもよると思いますけどうちの職場はわりと保守的というか古い体質で、既婚男性ドクターにとっては不倫天国だったんです。奥さんが病院に怒鳴りこんでくるみたいな騒動にさえならなければ黙認で、ナースの方が泣き寝入りするのが普通でした。でもこれからはコンプライアンスで、何かあったら病院側も力のある医者の方を守ることがむしろ難しくなってくるんじゃないでしょうか。だから周囲も彼が、もめなさそうな私と付き合っているのは却って都合がいいのでは。

二村:祥子さん、そこ、すごい自己肯定力ですね(笑)。

祥子さん:すみません(笑)。私との関係だって褒められたものじゃないんですけど、少なくとも周りが気を遣うような空気にはしていないので。あと、ご家族にだけは絶対にバレないように細心の注意を払ってね、とは彼に言ってます。

二村:時代が変わってきた危険を察知して看護婦さんに手を出すのを自粛してるのかもしれませんけど、でも対等である祥子さんとのお付き合いで彼の何かが本当に変わったんだとしたら、彼は職場で権力がある男性医師という「立場」が看護婦さんからモテていたことに嫌気がさしたんじゃないですかね。でも、その虚しさを自覚できずに屈折しちゃって女性を逆恨みして、さらに女の数を暴力的に増やそうとするハイスペックなモテ男は、世の中にめちゃくちゃ多いと思いますよ。彼、人柄も変化してきたんじゃないですか?

祥子さん:そうなんです! 仕事中、看護師や職員にキツくあたってしまうところがあったんですが、最近は人の意見もちゃんと聞くようになって、「中川先生、なんか雰囲気変わった」「やわらかくなったね」って患者さんたちにまで言われてるんです。それで私が「丸くなったよね」って言ったら「こないだ、ウチのにも同じこと言われた」って(笑)。付き合い始めの頃は奥さんとは冷えきってるって言ってたけど、最近はそうでもないんじゃないかな。私が泊まらないもんだから彼も家に帰ることになるわけで、そうすると奥さんの機嫌がいいみたいです。小学生の娘さんと家族3人で出かけたって話もしょっちゅう聞きますから。

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