街中で自動小銃! ついに始まった流血抗争の「流れ弾」危機

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幹部4人

「尼崎のようなえげつない事件が起きるのは、高山若頭の影響が大きい」

 と、先のジャーナリスト。

「彼は出所後、精力的に住吉会など様々な組を訪ね歩き、“外交”に余念がありません。6代目山口組との友好関係を盤石にするためです。その一方、“分裂は弘道会だけの喧嘩じゃないんだぞ”と、高山若頭が6代目山口組全体に向けて意思を表明したとされています。しかし実際のところ、この言葉は若頭が発したものではなく、“若頭はこういう考えに違いない”と周囲が忖度した結果なのですが」

 この“抗争指令”が浸透し、神戸山口組への襲撃という形になって表れているわけだ。それが証拠に、尼崎事件の朝比奈は逮捕後にこんな供述もしている。

「神戸山口組の“幹部”4人を襲撃するつもりだった」

 この意味を、ある暴力団関係者が解説する。

「神戸山口組には組長、副組長、若頭といった上層部の下に“幹部”という肩書が5人いる。朝比奈が尼崎で殺(や)った古川もそのうちの一人。朝比奈が尼崎の次に向かった京都には、幹部がいる。『雄成会』の高橋久雄会長だ」

 神戸側の幹部5人は、いま挙がった尼崎と京都のほか、熊本と札幌、姫路に拠点を置いている。

「朝比奈の犯行ではないが、11月中に二つの襲撃事件が起きた。18日に熊本の幹部が包丁で切りつけられ、19日には札幌で幹部の自宅にワンボックスカーが突っ込んでいる。殺害には至っていないものの、ともに、6代目山口組傘下の犯行だ。だからいま“未遂”なのは京都と姫路。近いうち、この地域で尼崎のような事件が起きても不思議はないな」

 山口組の元顧問弁護士で作家の山之内幸夫氏が言う。

「高山さんは外交のほか、内部の“人事”にも手をつけている。武闘派で、神戸山口組との抗争で功績のあった人を昇格させています。人事で内部を掌握し外交で外堀を埋め、神戸側を攻撃する。話をせず、力で押し切ろうということなのでしょう。神戸側の解散、上層部の引退まで犠牲が出続けるのではないでしょうか」

 かつて、山口組をめぐる抗争では、流れ弾で市民が犠牲になった悲劇もある。

 神戸山口組の本丸、神戸は言うまでもなく、もはや、抗争の流れ弾が市民を襲う危機は全国に広がっているのである。

週刊新潮 2019年12月12日号掲載

ワイド特集「風雲急を告げる」より

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