人生会議ポスター炎上、意見提出の患者団体に100通以上の逆抗議

社会 週刊新潮 2019年12月12日号掲載

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 古代ローマ時代から伝わる警句「メメント・モリ」を直訳すれば〈死を思え〉となる。

 この箴言はいずれ訪れる「死」を恐れて悲嘆に暮れるのではなく、むしろ身近に感じることで、自らに与えられた「生」を見つめ直すべしと説いている。

 となれば、その現代版が、本来の意味での「人生会議」であろう。にもかかわらず、21世紀の厚生労働省の手にかかると、こんなポスターが出来上がってしまうのだ。

 厚労省が11月25日に発表したこのポスターを眺めると、まず目に飛び込んでくるのは、入院着に身を包み、病室のベッドに横たわる吉本芸人の小籔千豊(こやぶかずとよ)。続いて彼の「心の声」である。

〈まてまてまて 俺の人生ここで終わり? 大事なこと何にも伝えてなかったわ(中略)病院でおとんのすべった話聞くなら 家で嫁と子どもとゆっくりしときたかったわ ほんまええ加減にしいや あーあ、もっと早く言うといたら良かった! こうなる前に、みんな「人生会議」しとこ〉

 ポスターの中央には心電図のグラフが描かれ、その波形は半分ほどで途切れてしまっている。その上で、

〈命の危機が迫った時、想いは正しく伝わらない。〉

 というコピーに至る。

 この内容にSNS上では、

〈患者や家族を冒涜する無神経さに驚き怒り〉〈この無神経なポスターをどこへ貼るのだ〉〈小籔の顔芸しか印象に残らないのが問題〉

 などと批判が殺到した。

 実は、小籔も若くして母親を亡くし、もっと生前に話し合いをしておけばよかったと後悔しているそうで、その意味では今回の抜擢も頷ける話だった。とはいえ、ポスターの趣旨を考えればこの「顔芸」はやはり場違いか。芸人としてスべった感は否めない。

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