人生会議ポスター炎上、意見提出の患者団体に100通以上の逆抗議

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意見書を出したら抗議が…

 押し寄せる批判に「人生会議」を提唱する厚労省は、

「患者団体の方々から、ポスターが患者や遺族を傷つける内容であるとのご意見を頂戴しました。こうしたご指摘を真摯に受け止めてポスターの掲載を停止しました」(医政局地域医療計画課・在宅医療推進室の担当者)

 と、作成に4070万円もの予算をつぎ込みながら、早々にポスターの撤収を決めたのだった。

 だが、お上の対応に困惑の色を隠せないのは、当の「患者団体の方々」だ。

 厚労省に意見書を提出した、卵巣がん体験者の会「スマイリー」の片木美穂代表が打ち明けるには、

「私も人生会議という取り組みを応援してきました。ただ、私たちがお会いする患者さんは治療がうまくいかなかったり、今後への不安を拭えない方々も多く、やはり、今回のポスターは脅迫的に映った。厚労省には、人生会議を広報するに当たって必要とされる配慮を欠いているのではないかと伝えたかったのです。しかし、ポスター撤収を受けて、私のもとには100通を超える抗議が届きまして……。“一体、何が問題なのか”“お前のせいで4千万が無駄になった”といった内容から、殺害予告に近いものまでありました」

 まるで彼女たちのせいでポスターが潰されたと言わんばかりである。スキルス胃がんの患者と家族を支援するNPO法人「希望の会」の轟浩美理事長も、

「ポスターの撤回ではなく、一律に全国の病院に掲示されることが不安だという気持ちを込めて意見書を出しました。患者の意思に反した治療が行われる恐怖や後悔といった、ネガティブな感情に訴えて啓発すれば人生会議の意味が誤解されかねない。人命にかかわるテーマを扱う以上、啓発を続けるなかで再考してほしいと伝えたのです」

週刊新潮 2019年12月12日号掲載

特集「エンディングにまでお上がお節介! 踊ってスベる『人生会議』騒動への溜め息」より

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