大塚家具が禁断の“年越しセール”を開始、資金が枯渇する来年3月をどう乗り切る?

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 大塚家具が「令和最初の年越しカウントダウンSALE」を11月末からスタートさせた。およそ12000品目を最大5割引きするという。“年越し”と謳っているにも拘わらず、開催期間はなぜか大晦日までなのかという疑問はともかく、昨年の最大8割引在庫一掃セールに比べると、やや迫力に欠ける。もはや出血大サービスもやる余裕はないようで――。

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 デイリー新潮は、「『大塚家具』赤字30億円でも業績予想を下方修正せず 久美子社長もついにお手上げ?」(11月21日配信)で、同社の末期的な経営状況について報じた。その中で、このままでは現預金残高が12月末で10億円を切る、とも――。

「年末に向けて、現金が欲しくてセールをはじめたということでしょう。結局、それしか手がないんです」

 と呆れるのは、業界の事情通である。これまでもデイリー新潮は、「大塚家具“在庫一掃セール”で売上高アップ、『モルヒネ注射』はもう止められない?」(18年11月9日配信)で、“小売業にとってセールは、一時的には効くモルヒネ注射のようなもので、経営の立て直しにはつながらない”と指摘してきた。

 それは、大塚久美子社長も重々承知のはずである。今年5月に業績予測を発表した際に、こう宣言していたのだ。

《店の見直しで、秋口から売上が立つ体制にできる。セールではない販売促進をする》

 彼女の言った通り、確かに9月の店舗売上高は、今年初めて前年を上回った(既存店舗前年同月比:114・1%、全店舗前年比:104・9%)。

「とはいえ、10月には消費増税が控えていました。にもかかわらず、既存店で約14%、全店舗で約5%の売上増でしかなかったわけで、とても駆け込み需要の恩恵にあずかったとは言えません。しかも、10月の売上高は、既存店は前年比76・5%、全店舗は69・9%に落ち込み、さらに11月は既存店74・5%、全店舗67・4%と今年最低の数字を記録しています」(同・事情通)

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