巨人「陽岱鋼」が年俸3億円で契約更改にファンから異論噴出 中島裕之にも厳しい視線

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「加齢対策」が不充分な陽岱鋼

 巨人にFAすると成績が落ちるという“伝説”“がある。人気球団のプレッシャーや全盛期を過ぎたことなどが原因とされるが、広澤氏は練習環境にも問題があると指摘する。

「現役時代、私は不振に陥ると、バッティングピッチャーに居残りをお願いして試合後に打ち込んだり、試合前の早出で特打をしたりしました。ヤクルトに在籍していた時なら、神宮球場の近くにある室内練習場を使ったものです。ところが巨人は東京ドームが本拠地なので、雨でも試合が開催されます。そのため雨天練習場がないのです」

 東京ドームは試合を行う関係から、チームの練習時間が厳密に決まっている。広澤氏が自由に使えるはずもない。

「よみうりランドに行けば2軍の施設を自由に使えるでしょうが、いくらなんでも遠すぎます。巨人の選手は、意外なほど個人練習ができないのです。結局、素振りをするのが精一杯。選手は練習を必要とするタイプと必要としないタイプに分かれるとはいえ、巨人に移籍した選手は、前球団に比べて練習量が不足するのは間違いありません」

 一般論ではあるが、巨人に移籍した選手がスランプに陥ると、それを引きずる傾向がある。この練習不足が原因というケースは少なくないという。

 では来季のリベンジを誓い、意欲満々でキャンプに参加したとする。しかし巨人の選手はキャンプでも充分に練習できない環境に置かれるという。

「巨人の人気に陰りが出ているという報道もありますが、今でもキャンプの賑わいは12球団で断トツです。本来ならキャンプは『泥まみれになって野球と格闘する』、『野球以外のことは何も考えられない』場所であるべきですが、大挙して押しかけるマスコミとファンのため、野球以外のことに気を取られてしまう。国内で最も人気の高い球団でプレーする独特の苦労はキャンプでも例外ではないのです」(同・広澤氏)

 打者の場合、陽岱鋼と並んでファンの怒りを買っているのが中島裕之(37)だろう。何しろ今季は65打席に終わったのだから何をか言わんやだ。打率・148、本塁打1本、打点5という数字が全てを物語っている。

 巨人が18年に中島と結んだ契約は1年契約で1億5000万円。やはり亀井の1億4000万円よりは高い。特にファンの異論はゲレーロ(33)の退団が発表された際に集中した。「ゲレーロを出すなら、中島も首を切ってくれ」という意見がSNS上に多数、投稿されたのだ。

 広澤氏は陽と中島の不調には共通した原因があると指摘する。具体的には「加齢対策」が不充分だというのだ。2人とも30代。当然ながら20代の全盛期に比べると、体の機能が衰えているのは言うまでもない。

「例えば全盛期の中島くんはインコースを得意にしていました。ところが今の中島くんはインコースを苦手にしています。年を取ると、得意なボールが180度、変わってしまうのです。プロの打者なら誰でも『俺は、こうやったら打てる』という信念を持っています。しかし、それは若い時の感覚なのです。これに気付かないと落とし穴に落ちこんでしまいます。プロ野球選手が1歳年を取ることは、前の年のように体が動かないことを意味することに気付く必要があります」(同・広澤氏)

 加齢を克服するにはどうしたらいいのか、広澤氏は「全ての固定観念を捨て、日常生活の全てを見直す必要がある」と言う。

 バッティングフォームを変えたり、バッドの重さやサイズを変えたりするのでさえ序の口。試合前のウォーミングアップ、試合後のクールダウン、オフの日の食事————過去の成功体験に引きずられず、何もかもを刷新しなければならない。

「年を取って劇的に変わるのは、速球に狙いを絞ると、遅い変化球に対応できなくなることです。体のタメを作りながら待ち続けることができなくなってしまうんです。これを克服するため、ベテランバッターはありとあらゆる努力を重ねます。難病に悩む方が名医を必死で探し、診察をお願いするのと同じです」(同・広澤氏)

 果たして陽や中島がそれだけの努力を重ねているのか————広澤氏は「率直に申し上げて、どこまでやれているのか疑わしいですね」と厳しく指摘する。

「陽くんや中島と契約を結び、巨額の年俸を払ったのはフロントの責任でしょう。しかしファンを納得させる個人成績が残せなかったのは、もちろん選手の責任です。陽くんや中島くんが自ら、新たな手を打たなければ、来季もファンの怒りを買う結果に終わるでしょう」

 陽岱鋼は来季を台湾での自主トレでスタートすることを明らかにしているほか、台湾代表として東京五輪に挑む可能性にも言及している。はてさて一体、どんなスタートを切るのだろう。

週刊新潮WEB取材班

2019年12月2日掲載

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