五輪の夢破れた「朝比奈沙羅」の並外れた英語力、獨協医大合格で来春から医師を目指す

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世界選手権での負傷も響く

 朝比奈は2016年のリオデジャネイロ五輪には出場していないが、恵まれた体格と125キロの全体重を相手に預ける強烈な払い腰を武器に一昨年、昨年の世界選手権で連覇するなど最近まで、東京五輪代表の最有力候補と見られていた。ところが福岡の高校生だった素根が急速に台頭してきた。「若い芽は潰す」の強気な言葉通り、当初は素根にも3連勝していたが、その後は5連敗を喫する。8月の世界選手権も朝比奈は早々に外国選手に敗れて敗者復活戦から3位に勝ち上がっていたため、今回同様、素根との直接対決はなかった。しかし直接対決では試合が長くなると若い素根の無尽蔵の体力に負けて、朝比奈が息切れしてしまうことも多かった。

 素根と並んでの表彰台から降りる際、朝比奈は素根の肩をポンと叩いて優勝を労った。直後の囲み取材で朝比奈は「自分にとって、東京五輪は最初で最後の五輪、自分の人生がかかっている。ここで引退はしません。(五輪代表は)まだ決まっていないし」と話していたが表情はやはり悔しそうで、既に「五輪代表は絶望」とは感じていたはず。その直後に素根の代表が決定してしまった。

 実は世界選手権で右ひざを負傷してしまい、本格的に練習ができたのは二週間ほどしかなかった。「一日一日を大事に過ごしてきた。怪我を考えればよくやったと思うけど合格点ではないです」と冷静に話したが、その目は少し赤かった。

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