「ターミネーター:ニュー・フェイト」で体験 新上映方式「IMAXレーザー」に2500円の価値はあるか?

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はたしてその価値は…

 当日、映画館に入ってIMAXレーザーの上映館の中に入ってみると、まずそのスクリーンの大きさに驚かされた。スクリーンの高さは、マンションの3~4階分くらいあるだろうか。

 土曜日お昼前の11時45分の回、客席も満席だった。私は子供の頃と同じように期待に胸膨らませて、「ターミネーター」を観はじめた。

 さて。

 こんなところまで読んでいる人を引っ張ってきた私は、IMAXレーザーに関する感想をそろそろ正直に言わなければならない。

「ターミネーター」自体は面白かった。そこまでやるのか……のアクションの連続で、もちろん飽きもしない。映画自体は本当に楽しめたのだ。

 では、この新しい上映方式はどうだったのか。もちろん、あれだけ大きなスクリーンなのだ。ド迫力はあった。映像も美しかった気がするし、音も凄かった気がする。

 そうなのだ。

 問題はその「気がする」という部分にある。

 マニアックな人や映画関係者や専門家はさておき、一般の人は同じ映画を別の上映方式で2回以上観たりはしない。だから、ほとんどの人にとって選択した上映方式と選択しなかった上映方式を比較する術がないのだ。その結果、観ている時や観終わった後、「映像や音も、まあこんな感じかな」と、その時受けた感覚を“当たり前”のものと感じてしまうのではないか。

 仮にそうだとすると、いつも観る映画と比較してよほどの映像的差異、音響的差異がない限り、新しい上映技術に触れたとしても多くの観客は「まあ…。こんな感じなのかなあ」という、何となく歯切れの悪い感想を持ってしまうのだと思う。

 上映技術は日々進化しているし、映画技術の向上に携わる方も大変な努力をされているのだと思う。その進歩に関する数字的データも刻々と蓄積されているのだろう。

 しかし、それでも一般上映料に600円オンされた全てのお客さんが「やっぱり新しい技術は凄いよ!一本2500円払った甲斐があったよ!」と今言うとは到底思えない。

 一本の映画を観終わった時に「これは確かに見たことのない映像だった、音響だった」と思える感覚と、新たな上映技術が必要としている対価は今はまだアンバランスであって、その両者の関係はまだ過渡期にあるように、私には思える。

 私同様「初体験の新しい上映技術でターミネーターを観るぞ!」と意気込んでいる方で、チケット購入時、自分が観たかった新しい上映方法の上映館の座席が結構埋まってしまっている方がもしいたら、こう案内する。

「新しい上映方式で好きな座席の購入ができないようなら、ごく普通の上映方法の座席の中からいい座席を探しましょう。全く問題ありません。『ターミネーター:ニュー・フェイト』は上映方法に関わらず、十分楽しめる映画だからです」

尾崎尚之(@YuuyakeBangohan)/編集者

週刊新潮WEB取材班編集

2019年11月16日掲載

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