東京五輪マラソン、札幌移転ならメダル遠のく? 怒りの小池都知事に勝算は

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 オリンピックの華、マラソンの語源はギリシャの故事に由来する、とされている。紀元前490年、マラトンの戦場でペルシャ軍を返り討ちにしたギリシャ軍。勝利を報告するためにマラトンを発った兵士はアテネまでの約40キロを走り、任務を終えた後に息絶えた……。このエピソードに象徴される通り、マラソンとはそもそも過酷な競技である。8月の炎暑の東京と、比較的涼しい北海道の札幌。どちらが競技にふさわしい環境かは明白だが、それにしても、開幕まで10カ月を切ったこのタイミングでマラソンの開催地変更が取り沙汰されるとは、誰一人想像できなかったに違いない。

 暑さ対策として、男女マラソンと競歩の会場を東京から札幌に移す計画がある――。国際オリンピック委員会(IOC)がそう発表したのは今月16日。これを受け、マラソン、競歩の代表に内定している選手たちが次々と驚きのコメントを出したのは無理もなかった。

「東京の舞台を目指してマラソンを始めてここまでやってきたので東京で開催して欲しい」(男子マラソンの服部勇馬選手)

「先月MGCで本番のコースを走りましたし、それをイメージして練習してきたので戸惑っているというのが今は大きい」(女子マラソンの鈴木亜由子選手)

「これまで『日陰のあるコースに』と要望してきましたが、東京からの移転までは想定しておらず、正直、驚いています」(男子50キロ競歩の鈴木雄介選手)

 バルセロナ五輪の男子50キロ競歩に日本代表として出場した園原健弘氏も、

「がっかりしてしまった選手の気持ちはよく分かります。私個人としては東京のど真ん中を歩いて金メダルを取る選手の姿が見たかったなという思いが多少ありますね」

 スポーツライターの酒井政人氏はこう言う。

「男子の競歩はメダルが有望視されていましたが、札幌に決まった場合、暑さ対策のアドバンテージがなくなり、メダルの可能性は低くなってしまいます」

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