ノーベル賞大本命! 16歳の活動家グレタさんへの違和感

国際 週刊新潮 2019年10月10日号掲載

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400万人デモ

 環境運動の新たなヒロインについて語るには、まず彼女の生い立ちを知るべきだろう。

 グレタさんの母親はスウェーデンでは有名なオペラ歌手。父親も俳優という芸能一家で、3歳年下の妹がいる。そんな彼女の「活動家」としての原点は11歳の時に学校の授業で観た映画にあった。

 一家4人で書き上げたという『グレタ たったひとりのストライキ』によれば、その映画は、世界中の海に浮遊するプラスチックごみがメキシコよりも大きな島を作っていることを伝える内容。上映中に泣き出した彼女は、ショックから摂食障害となる。体重は2カ月で10キロも減り、まもなく「アスペルガー症候群」と診断された。しかし、彼女はその後、独学で環境問題について知識を深めると、昨年8月20日にある行動に打って出る。

「グレタさんは学校を休んでスウェーデンの国会議事堂前に座り込み、ひとりでストを始めます。その姿はSNS上で話題になって、3週間後には子どもと大人合わせて約千人がデモに加わった。“アスペルガーである私にとって、ほとんどすべてのことは白か黒か”と語る彼女は、温暖化問題も白か黒かの問題だという。また、“未来がなくなるのなら、なぜ勉強しなくてはならないのでしょうか”とも。このハッキリとした物言いが子どもたちの心を掴んでいるのです」(同)

 グレタさんは毎週金曜日に学校を休んでデモを続行。両親もそれをたしなめるわけではなく、むしろ理解し、支援している様が窺える。「未来のための金曜日」と名付けられたデモ活動は瞬く間に世界中の若者を巻き込んでいった。

 彼女のツイッターのフォロワー数は260万人を超え、今年9月20日に行われたデモには約160カ国で400万人以上が参加した。

 国連でのスピーチを終えてカナダへと渡った彼女は、

「27日にモントリオール市長の招きでデモに参加しています。主催者発表で50万人が集ったこのデモは、ケベック州史上最大の規模にまで膨れ上がりました」

 とは、カナダ在住のジャーナリスト・關陽子氏。

「トルドー首相も加わったデモはグレタさんの会見で締め括られました。なぜ一部の大人たちに攻撃されるのだと思いますか、と問われた彼女は、“私たちのインパクトが強いことの証明だし、大人たちが黙らせようとすれば、かえってその力は広まっていく。むしろ喜ばしいことだ”と答えています」

 この現象はヨーロッパ各国では昨年のうちから飛び火していた。在独の作家・川口マーン惠美氏が語る。

「ドイツでは昨年11月頃から学校を休むデモが広まりました。参加者には義務教育課程の子どもたちが多く、法律にも抵触するため当初は批判の声もありましたが、いまでは親や教師も賛同し、デモへの参加を課外授業扱いにして欠席としない学校も多いのです」

 一方、グレタさんたちの主張は理想主義的であると同時に、かなり極端でもある。CO2を削減するために「石炭火力発電をやめろ」、「飛行機や自動車に乗るな」と訴え、牛のゲップはメタンガスを含み、飼料を育てるのに森林が伐採されるから「肉は食べない」とも公言する。

「自動車社会のドイツで車通勤を禁止することはもちろん、いますぐ火力発電を再生可能エネルギーで代替することもできません。もし彼女たちの言う通りにすればドイツ経済は間違いなく悪化する。当然、彼らが大人になる頃の景気や雇用、収入にも暗い影を落とすことになります」(川口氏)

 デモが終われば子どもたちは暖かく、電気の灯る家に帰り、ベッドに寝転びながらスマホで連絡を取り合う。なかには親に車でデモの集合場所まで送ってもらう子もいるという。

 さらに、グレタさんは国連の会合に参加するため、太陽光パネルや水中タービン発電機を搭載したヨットでニューヨークを目指したが、スタッフは空路で渡米し、船長も飛行機で帰国すると報じられた。こうした「矛盾」をはらんだ活動となっているのだ。

(2)へつづく

特集「『ノーベル平和賞』大本命! 世界が賞賛する16歳の活動家『グレタさん』への違和感」より

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