CSファイナル第1戦、巨人の命運を握るのは山口俊投手【柴田勲のセブンアイズ】

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 前人未到の400勝を達成し、ロッテで監督も務めた金田正一さんが亡くなられた。歴代最多の大記録は今後だれにも破られないだろう。大投手の逝去に接し、寂しい気持ちだ。

 ご冥福を心からお祈りいたします。

 巨人はきょう9日から東京ドームに阪神を迎えてのCSファイナルステージだ。正直、阪神がここまで勝ち上がってくるとは意外だった。シーズン最終盤から6連勝で3位に食い込み、ファーストステージではDeNAを寄り切った。

 今季のセ・リーグは連勝したと思えば、連敗し、その逆のパターンも多くあった。ここに来て好調の波が阪神にやって来た。

 巨人にとって最も怖いのはこの勢いだ。その視点から見れば、9日の第1戦が大きなカギとなる。

 先発の山口俊が阪神の勢いを止めることができるかどうかだ。ここに尽きる。

 まずは1、2番を警戒してほしい。1、2番が出るとチームは活気づく。

 それとムダな四球で走者を出さないことだ。打たれるのは仕方がない。阪神はガンガン本塁打を打つチームではない。こう思って自分の投球を心がけるべきだ。いまの山口ならできる。

 打線で言えば毎度のことながら坂本勇人、丸佳浩、岡本和真の3人が機能すればいい。

 巨人には1勝のアドバンテージがある。勝てば2勝0敗。残り試合を有利に進めることができる。

 第1戦を取れば阪神の勢いは間違いなく半減する。CSや日本シリーズはペナントレースとは違う。短期決戦では相手を勢いに乗せないこと大事で、その勢いに乗ってここまできた阪神ではなおさらだ。

 今季の対戦成績は15勝10敗だが、ここ6試合は2勝4敗と負け越している。巨人は第1戦を取れば、勢いが出てポンポンと白星が続くかもしれない。

 ただ、第1戦を落とすようだと、もつれる可能性も出てくる。

 2014年、原辰徳監督の第2次政権でリーグ3連覇を飾りながら、CSで2位・阪神に敗れている。

 もちろん、現在この時とは状況が全く違う。違うが油断だけは絶対に禁物だ。

 巨人はリーグ優勝してから、約2週間空いている。最後はチーム状態が決してよくはなかったと見ている。この2週間で疲れを癒やし、気持ちもリフレッシュできたのではないか。そう思って、CS最終ステージの第1戦に臨んでもらいたい。

柴田勲(しばた・いさお)
1944年2月8日生まれ。神奈川県・横浜市出身。法政二高時代はエースで5番。60年夏、61年センバツで甲子園連覇を達成し、62年に巨人に投手で入団。外野手転向後は甘いマスクと赤い手袋をトレードマークに俊足堅守の日本人初スイッチヒッターとして巨人のV9を支えた。主に1番を任され、盗塁王6回、通算579盗塁はNPB歴代3位でセ・リーグ記録。80年の巨人在籍中に2000本安打を達成した。入団当初の背番号は「12」だったが、70年から「7」に変更、王貞治の「1」、長嶋茂雄の「3」とともに野球ファン憧れの番号となった。現在、日本プロ野球名球会副理事長、14年から巨人OB会会長を務める。

週刊新潮WEB取材班編集

2019年10月9日掲載

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