コンビニでの「成人誌」販売終了から1カ月、現役編集者が語る“業界の悲惨な状況”

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コンビニ業界の事情は…

 一方、コンビニ業界の事情はどうなのだろうか。ローソンに勤務経験がある流通アナリストの渡辺広明氏は、

「“供給”がインターネットに取って代わられた昨今、成人誌は3日に1冊しか売れず、店側としても売り場の効率が悪い商品ではありました。女性や外国人のお客様への配慮という理由もありますが、売る側のメリットが低かったというのもあるでしょう。またスペース的な意味での売場効率の問題もありそうです。軽減税率を受けてのイートインスペースや、薬の販売など、現代のコンビニのレイアウトは、大きな転換期を迎えています。これは成人誌に限らない話ですが、雑誌棚そのものを持て余している部分もあるのでは」

 先の編集者氏が続ける。

「全国規模でマクロに見れば、コンビニで成人誌はそれほど売れていなかったかもしれない。ただ、取り扱いがなくなったことでの損失が30~40億円と聞いて、作る側ながら『そんなに売れてたんだ』と思ったのも事実です。おそらく、需要は首都圏ではなく、地方に強くあったのでは。地方のコンビニに行けば、成人誌が充実している店舗は珍しくありませんでした。だから一部のフランチャイズの店舗や地方の店舗からは、本部の方針で一律で売れなくなったことを嘆く声も少なくないようですよ」

 成人誌からエロを抑えたソフト成人誌でも「それはそれで売れる」と編集者氏は言う。購入層は想像に洩れず、インターネットに疎い高齢者層だ。氏が手掛ける雑誌も、コンビニから怒られないようにしながら、表現を工夫して刊行を続けるというが……。

週刊新潮WEB取材班

2019年10月4日掲載

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