転んでも骨折しない104歳「田谷きみさん」今も店先に 【続・達者な100歳にはワケがある】

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「百寿まんじゅう」

 孫の等さんが話を継ぐ。

「馴染みのお客さんが来た時に、おばあちゃんがいないと“どうしたの”って必ず言われます。それくらい店にとっては欠かせない存在ですよ。時には商品を食べて貰って助言をお願いすることもあって。和菓子は季節感を大事にしますから、秋物の栗蒸し羊羹なんかを出す時は必ず感想を訊いたりしますね」

 看板娘と並んでお店の名物になっているのが、「百寿まんじゅう」である。醤油の産地として有名な銚子に隣接する土地柄を意識して、皮には地元産の醤油を隠し味として使い、自家製の餡は北海道から取り寄せた小豆を使っているそうだ。

 再びきみさんが言うには、

「お店のお菓子では『百寿まんじゅう』が一番好き。皆さん結構買って行かれますよ。しばらく顔を見せないお客さんが来た時に、“どうしてたの”って尋ねたら“そんなにまんじゅうばっかり食ってられない”と言われちゃったけど、いつも顔を出してくれる人が来なくなると心配だし、再会できるのは嬉しいこと。正直お店に出るのは疲れるけど、お客さんが私の顔を見ないと死んだのかなって思ってしまうと聞いて……。何ができるわけではないけど、お店に立つだけでも仕事だと思っています」

 待っていてくれるお客さんがいる限り――。自分が必要とされているという気持ちが、仕事を続ける上で励みになっているのだ。

(3)へつづく

週刊新潮 2019年9月26日号掲載

特集「大反響『現役』だからめでたい! 続・達者な『百歳』にはワケがある」より

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