「大学入試出題数1位」でも高校生には読ませたくない朝日新聞「天声人語」の中身

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“だから何?”

 1世紀以上の歴史を持つ、朝日「天声人語」。3年前からは、有田哲文、山中季広の両論説委員が1週交代で執筆を担当している。うち、有田氏はインタビューでこう答えている。

「朝、テーマを決めて、どう着地するかわからないこともありますよ。夜に書き終わり、家に帰って次のテーマを考え……」

 一日うなって、その成果が「どうだろう」「ずっこけたくなる」……。そんな言い回しをそのまま使うとは、よほど強烈な自負でもないとできない芸当だが、

「『天声人語』とは、天の声を人の言葉で語るという意味ですよね」

 と言うのは、コラムニストの小田嶋隆氏。

「『上から目線』のコラムになるのは当然と言えるのかもしれません。新聞という架空の人格が読者に教えてやってるというつもりなんでしょうが、“あなたはどの立場なの”と突っ込みたくなります。全てを超越した仙人が無知な人に語りかけるような、特権的な言い回しが目につきます」

 例えば9月6日の話題は、風疹が流行していること。マンガ『コウノドリ』を引いて、妊娠初期の女性が感染すると子どもに障害が及ぶ可能性について記した上で、結論はこうだ。

〈予防接種よりほかに赤ちゃんを守るすべはないと改めて胸に刻む〉

 おっしゃる通りです。

 あるいは、8月31日。大雨で大規模な浸水が起きた佐賀県の大町(おおまち)町で、鉄工所から漏れた油による被害も出ていることを取り上げた上での結論は、

〈水や油の害から脱した日常の暮らしが、一日も早く取り戻せるよう〉

 しごくごもっとも。

 8月25日、「デマの速度」について取り上げた際には、

〈判断力のある知者がいればデマはそれ以上広がらないとされる〉

 実際、そうなってしまっている現実にメスを入れることこそが、コラムの役割なのではないでしょうか。

(2)へつづく

週刊新潮 2019年9月26日号掲載

特集「上から目線で酔い痴れる 高校生には読ませたくない朝日新聞『天声人語』」より

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