103歳の画家「入江一子さん」圧迫骨折から復活の秘訣は 【達者な100歳にはワケがある】

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現役だからめでたい! 達者な「100歳」にはワケがある(3/3)

 齢100歳を超えても現役で活躍する先輩方から学ぶ、元気の秘訣――どうやら「百寿者の食卓」には、大好物としての「肉」が欠かせないようだ。

 大正5年生まれ、103歳の現役女流洋画家・入江一子(かずこ)さんも、

「好きなモノは肉。肉はどんな調理法でも好きですね。絵を描くため取材でシルクロードに出かけると、辛い食べ物が多くてね。同行した人たちは食事が合わなくて大変そうだったけど、私は朝鮮育ち。辛い物に慣れていたから何の問題もなかった。唐辛子も大好きだけど、食欲があって何でも食べるのが健康の秘訣です」

 山口県生まれの彼女は、毛利藩士の家系で貿易商だった父と共に、幼少期に朝鮮半島の大邱(テグ)へと渡る。小学校6年生の時に描いた静物画が昭和天皇の御大典で奉納されるほど絵が得意で、画家を目指し女子美術学校(現・女子美術大学)に進むと、「レオナール・フジタ」こと藤田嗣治らの指導を受けた。戦前戦後の混乱を経て、東京で美術の教員などを務めながら生計を立て、戦後の具象絵画を代表する林武画伯に師事し、40年間、欠かさず絵画展に出品し評価を高めた。

 50代で中央アジアへと旅したことがきっかけで、シルクロードがライフワークとなり、10年前にはNYで個展を開催。大成功をおさめ話題となる。2年前には初めての自伝『101歳の教科書 シルクロードに魅せられて』を上梓。上野の森美術館で大規模な回顧展も開かれるなど、精力的に活躍を続けている。

 改めて入江さんが話す。

「私は6歳からずっと1日1枚、絵を描くようにしてきました。目の前にリンゴがあったら、それを描き切るまでは食べなかった。そんな風に『絵が第一』の生活を続けてきたから、絵を描くのを辞めたいと思ったことは一度もありません。筆を握って死にたいくらいだから、病院で亡くなるなんて考えられません」

 そんな画伯でも、絵筆を握れず入院を余儀なくされたことがあったと明かすのは、息子の潔さん(71)だ。

「確かに手術を受けるような大病をしたことはないんですが、93歳で腰椎の圧迫骨折を起こしてしまい、救急で運ばれた医師に絶対安静と言われてしまった。かなりの高齢でしたし、このまま動けなくなったら寝たきりになってしまうと考えた私たちは、転院した先で漢方と鍼灸の名医に見て貰い、リハビリを受けることにしたんです」

 奇跡は起きた。わずか2カ月で入江さんの容態は劇的に快復し、病室で絵を描けるまでになったのだ。

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