京アニ放火事件実名公表はなぜ議論を呼んだ? 凶悪事件遺族が語る「報道されない被害」
京アニ放火殺人の「実名報道」に「世論」という壁(2/2)
8月27日をもって、京アニ事件の犠牲者35名全員の名前が公表されることとなった。事件発生から40日後まで公表がずれこんだ異例の事態の背景には、遺族の意向、そして1万5千人超の“公表反対”署名運動も起きた「世論の壁」がある。通常通りの対応をするつもりだった京都府警に対し、東京の警察庁から“待った”がかかるなど、混乱を極めたのである。
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3年前にも、同じようなケースが議論されたことがあった。これもまた、戦後史に残る重大事件・相模原「やまゆり園」の殺傷事件である。犠牲者19名の遺族は、神奈川県警に実名公表しないことを依頼した。知的障害者の施設ということもあり、県警は今に至るまで公表しないままだ。
が、
「それぞれに考えはあると思いますが、私自身は、実名を出すことに迷いはありませんでした」
と言うのは尾野剛志さん。尾野さんは息子・一矢さんが重傷を負う被害に遭ったが、事件直後から実名を出して夫婦で取材に応じている。
「仮名ではなく、名前があってこそ初めて悼むことが出来る。私たち夫婦は今でも仏壇に犠牲者の名前を書いたリストを置き、祈りを捧げています。しかし、毎年行われている追悼式では犠牲者の写真も名前もありません。あれでは、事件も風化してしまう。亡くなった本人たちは、果たして名前を隠してほしいと望んでいるのでしょうか」(同)
そして、
「京都アニメーションの被害者の方はみんな素晴らしい仕事をしてきた方々ですよね。ですから名前が出ることによってこの世に足跡が残ると思うんです。立派なことをして作品の最後に名前が出ていた方々でしょ。それが、亡くなったら名が出なくなったとなれば、どう思うのかな……」
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