元NHKアナが振り返る「私が違法薬物で逮捕された日」 会社は懲戒解雇、うつ病に……

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2年ぶりの司会

「そんな時、ネットで『薬物報道ガイドライン』というタイトルの記事を読みました。TBSラジオの『荻上チキ・Session-22』でオンエアに使われた音声を書き起こし記事でしたが、そこには薬物依存の治療を専門にしている精神科医や専門家の話が載っていました」

 塚本氏は依存症治療の専門家に連絡をとり、面会。薬物依存専門の精神科医を紹介してもらったという。

「月に1回、精神科医の治療を受け、依存症の回復施設には週に5日通いました。僕は薬物の依存症ではなかったのですが、社会復帰には効果があると言われました。夜は毎日、依存症の自助グループのミーティングに参加しました。よくアメリカの映画などで、アルコール依存症の人たちが車座になって自分の体験を語り合う、あのミーティングです。最初は、依存症でもない僕がミーティングに参加して意味があるのだろうか、と半信半疑でしたが、色んな人たちの話を聞いていくうちに、あ、この話、僕が悩んでいるところと同じだとか、こうやれば社会復帰できるんだ、という具合に、だんだんと進むべき道が見えてきました」

 塚本氏は依存症治療の専門家からの推薦で、2017年10月に開催された『NPO法人全国ギャンブル依存症家族の会』設立フォーラムで、司会を務めた。設立フォーラムには各党の国会議員や専門家、テレビ各局がつめかけた。司会者として、再び自信をつけたという。現在は、アナウンサー時代の話術を生かして、インターナショナルスクールで週に1度、アカデミックスピーキングの外部講師を務めている。さらに、今年の春に開設された『依存症予防教育アドバイザー』の養成講座に参加。アドバイザーの資格を取得した。

「設立フォーラムで司会を務めた時、最後にサプライズで、僕のことを紹介する場面があったのです。そこで、その場を借りて、『危険ドラッグの所持・製造で逮捕されました。私が起こした事件により、世間を騒がせてしまったこと、申し訳ありませんでした』と、お詫びすることができました。この秋に向けて、あちこちの高校などからアドバイザーの講演依頼がきています。まだまだ、これで食べていけるレベルではありませんが、一歩一歩前に進んで行ければと思っています」

週刊新潮WEB取材班

2019年8月31日掲載

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