「四世紀ぶりの孤立」を招いた文在寅、日本と北朝鮮から挟み撃ち

鈴置高史 半島を読む 国際 韓国・北朝鮮 2019年8月20日掲載

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新羅も避けた「南北挟撃」

――韓国と北朝鮮の関係は完全におかしくなっているのですね。

鈴置:注目すべきはそこです。両国は対立関係に戻りました。文在寅政権の「和解」プロパガンダに騙されてはいけません。

 一方、韓国は日本とも厳しく敵対しました。要は、韓国は北側の国とも南側の国とも対立し、挟撃――挟み撃ちされる境遇に陥ったのです。

 朝鮮半島の国家は本能的に、国の滅亡に直結する「南北挟撃」を避けてきました。日本と敵対していた新羅も、高句麗や唐の力が強くなると、対日関係の改善に力を注ぎました。朴正煕(パク・チョンヒ)政権の韓国も、北朝鮮に対抗するため日本と国交を正常化して手を握ったのです。

 どの国も「挟撃」状態に陥ることは避けようとしますが、ことに韓国人には苦い記憶があります。李氏朝鮮は16世紀末の文禄・慶長の役で日本に攻め込まれ、国が極度に疲弊。それが癒える間もなく今度は清と戦い、滅亡寸前まで行きました。

 そんな「民族の記憶」があるのに、文在寅政権は「南北挟撃」の状態を創り出してしまった。四世紀ぶりです。

 本来なら同盟国である米国が助けてくれるべきところです。しかし、文在寅政権は米国よりも中国の言うことを聞く。核武装を続ける北朝鮮にカネを送ろうとする。そんな韓国を助けるほど、米国はお人よしではありません。

「島国一族」から蔑み

――北朝鮮にすれば「しめた!」という感じなのでしょうね。

鈴置:北朝鮮も「孤立した韓国」をからかっています。「朝鮮外務省米国担当局長、軍事演習のため北南接触が困難と強調」(8月11日、日本語版)では「米朝蜜月」を誇ってみせました。

・米大統領までわれわれの通常兵器開発試験をどの国でも行うたいへん小さなミサイル試験だと言って、事実上、主権国家としてのわれわれの自衛権を認めた。

祖平統代弁人、朝鮮に言い掛かりをつけた南朝鮮当局者の妄言を糾弾」(8月16日、日本語版)では、文在寅大統領の光復節演説を評するなかで「日本の輸出管理強化に手も足も出ない韓国」をあざ笑いました。文章を整えて引用します。

・島国一族から受ける蔑みを晴らすための明確な対策も、崩壊する経済状況を打開するこれといった方案もなしに弁舌を振るった。

 お分かりと思いますが、「島国一族」とは日本人の蔑称です。

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