後見人が“ケーキは買うな”“美容院行くな” 成年後見制度に改正の必要性

社会 週刊新潮 2019年6月20日号掲載

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お金を使わせず、長生きさせる

 後見トラブルの相談を受けている一般社団法人「後見の杜」の宮内康二代表によると「職業後見人の報酬は被後見人の預貯金額に比例し、1千万円以下だと年間24万円、5千万円以上だと年間72万円ほど。このため職業後見人はできるだけお金を使わせないようにして、報酬額を減らさないようにするのが一般的」だという。

 この報酬は被後見人が死ぬまで後見人に払われる。つまり、できるだけ被後見人にお金を使わせずに長生きさせるほど、後見人が潤う仕組みなのだ。要は、被後見人が死ぬまで食らいつくのだ。これを俗に“スッポン後見”という。

 堪えかねた良子さんが大分地方法務局(司法書士の監督機関)に、この司法書士の懲戒請求を行ったところ、司法書士は17年9月、後見人を辞任。大分家裁は新たに地元の弁護士を後見人に選任した。

「でもこの弁護士もいまだに一度も主人と会っていません。裁判の結果、会社から損害賠償金が支払われたのに、その額も教えてくれず、自宅の建て替えを繰り返し求めてきたのに、家を見に来たのは今年の3月が初めてで、何も進んでいない。建て替えを楽しみにしていた主人はすっかり落胆し“裁判なんてやらなきゃよかった。死んだ方がましだ”と話しています」

 この間に忠雄さんは体調を崩し、入退院を繰り返し、「何度か生死の境をさまよいました」(良子さん)。昨年6月に74キロあった体重は、いまは50キロしかないという。

 これに対し、前後見人の園田剛士司法書士は「質問には答えられない」と文書で回答を拒否。一方、現在の後見人の梅本哲平弁護士は「本人と会っていないのは事実だが、本人の意思は良子さんから聞いており、それで十分と考えている。建て替えについては、金額が大きいので、家裁の許可が必要。家裁の納得を得るために、狭い廊下や浴室などの写真を送ってくれれば対処すると話してきた」と反論する。

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