後見人が“ケーキは買うな”“美容院行くな” 成年後見制度に改正の必要性

社会 週刊新潮 2019年6月20日号掲載

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 2000年にはじまった成年後見制度は、家庭裁判所が選任した後見人が、認知症を患う高齢者の生活を手助けする目的のものである。財産管理もその業務の一環だが、現在、この制度をめぐってトラブルが続出しているという。前回紹介した例では、後見人弁護士がキャッシュカードなどを管理するようになった結果、被後見人の81歳女性には生活費が1円も渡されなかったという。

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トラブル続出!高齢者を不幸にする成年後見制度――長谷川学(2/2)

 もう一人、大分県に住む山田良子さん(65)=仮名=のケースを紹介する。良子さんは姉さん女房。夫の忠雄さん(58)=同=は2011年に勤務先で仕事中に脳梗塞で倒れ、言葉は話せるが手足に麻痺が残り、脳血管性認知症も発症した。忠雄さんは過重労働による労災認定を受けた。

 夫の希望に従い、良子さんは仕事を辞めて在宅介護に専念したが、自宅は築50年。廊下はギリギリ車椅子が通れる狭さ。老朽化もひどく、隙間風や雨漏りに悩まされていた。

「弁護士さんに相談したら、会社を相手取り損害賠償請求訴訟を起こし、そのお金で家を建て替えたらどうかと提案されました。夫に話すと“ぜひ、やってほしい”と言うので、弁護士さんに伝えると“判断能力が十分でないので裁判を起こすには後見人をつける必要がある”と言われました。それで家裁に後見利用を申し立てたところ、地元の司法書士が選任されたのです」

 ところが、良子さんによると、この後見人は「ご主人のことは書類を読んでわかっているから会う必要はない」と言い、一度も忠雄さんに会わなかったばかりか、初対面の良子さんに対し「なぜ、貯金が少ない? 普通は1年で100万円は貯めるものだ」「携帯電話は必要ない。家族分を解約しなさい」「奥さんは車の運転をしてはいけない。事故を起こすと保険料が上がってしまう」などと、命令口調で指示したという。

「その後も“本人が食べたいと言ってもケーキやお菓子は買うな。欲しいと言っても無視しろ”と言われたり、私が介護に専念しているのを知りながら“あなたの美容院代や雑誌代は、夫と関係ないから払わない”などと言われました。私が“それでは私も夫も何の楽しみもない。いっそ離婚したほうがましだ”と言うと、“ご主人には意思がないから離婚できないよ”とも言われました。この後見人の暴言はあげればきりがないほどです」

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