後見人が“ケーキは買うな”“美容院行くな” 成年後見制度に改正の必要性

社会 週刊新潮 2019年6月20日号掲載

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制度改正の必要性

 今年3月19日、朝日新聞は「成年後見『親族望ましい』」「専門職不評、利用伸びず」と1面トップで報道。それによると、最高裁は、身近な親族を後見人に選任することが望ましいと判断し、各地の家裁に通知したという。

 先の宮内氏は「職業後見人に対するクレームが各家裁で急増。各家裁が“何とかしてくれ”と最高裁を突き上げた結果と聞いています。今後、親族は自分を後見人に追加するよう家裁に申し立てると良い。そうすれば従来の職業後見人は辞任するはずです」と語る。

 成年後見制度導入時に制度設計に関わった小池信行弁護士(元法務省官房審議官)は、こう語る。

「後見を受けている人の多くは、いわゆるまだら状態なんです。意思能力も判断能力もある。それをないと決めつけてしまったら個人の意思の尊重なんてあり得ない。植物状態の人などを除き、程度の差こそあれ、判断能力は残っているわけで、後見人は、極力それを引き出さねばいけません。とくに、どこに住むかは本人にとって最も大事なことですから、本人の意思に反して後見人が住まいを決めることはできません」

 小池氏は、制度の改善策の一つとして「限定後見」の導入を提唱する。

「家の売却や保険加入など専門的な判断を要する問題が発生したときに後見人をつけ、それをやり終えたら後見人は退任するのが限定後見の考え方です。実際、韓国では限定後見を採用しており、日本も限定後見の導入を検討すべきです」

 救済されるはずの認知症高齢者やその家族が苦しみ、弁護士や司法書士が得するいまの制度は、だれが考えてもおかしい。

長谷川学(はせがわ・まなぶ)
ジャーナリスト。1956年兵庫県生まれ。早稲田大学教育学部卒。「週刊現代」記者を経てフリー。著書に『成年後見制度の闇』(宮内康二との共著)、『政治家の病気と死』など。

特別読物「トラブル続出!『高齢者』を不幸にする『成年後見制度』」――長谷川学(ジャーナリスト)より

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