WHOが警告! 食べてはいけない「パン」の危険物質 たった一つで基準値超え商品の実名

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WHOの驚くべき報告

 この「魔法の油」は人体に明らかな害をもたらす。

「トランス脂肪酸の多量摂取を続けると、動脈硬化を招く。それによって、狭心症や心筋梗塞など冠動脈系の疾患を引き起こす可能性があるのです」

 とは、神戸大学大学院医学研究科の石田達郎・特命教授。

「もともと脂肪は安定した物質で体内に長く留まる性質がある。中でも特にトランス脂肪酸は分解されにくい性質を持ちますが、一部の脂肪は血液中に長く留まると血管に炎症を引き起こしてしまうのです。さらには、トランス脂肪酸には悪玉コレステロールの生成を促進する作用もあります。これらが相まって血管に大きな負担をかけ、動脈硬化を招くリスクを高めるのです」

 実際、WHO(世界保健機関)もこの心疾患リスクについて驚くべき報告を出している。曰く、

〈トランス脂肪酸摂取が原因の心血管疾患患者の死亡数は毎年50万人を超えると推定〉

〈トランス脂肪酸が多い食事は、心疾患リスクを21%、死亡を28%増加させる〉

 このリスクに加え、日本の食品安全委員会は、トランス脂肪酸の過剰摂取が及ぼす影響を、

〈肥満、アレルギー性疾患(喘息、アレルギー性鼻炎等)について、関連が認められた〉

〈妊産婦・胎児への影響(胎児の体重減少、流産等)について、報告されている〉

 としている。

 また、国が認めるには至っていないが、がんやうつ病との関連を示す研究結果も出始めている。そもそも、トランス脂肪酸は食品からとる必要のない成分。にもかかわらず、現代人が苦しむ数々の病の原因となりうる「危険物質」と言えるのである。

 そのため、WHOはトランス脂肪酸の摂取量を1日の総摂取カロリーの1%未満に収めるよう推奨している。平均的な日本人の場合、これは1日2グラムに相当する。

 それを念頭に置いて、掲載の表に戻っていただこう。WHO基準の2グラムと対照すると、107商品中、多くのパンのトランス脂肪酸量は低めの値を示しているが、12商品は1グラムを超えている。1日3食、間食も含めて他の食品からもトランス脂肪酸を摂取する可能性があることを考えれば、これらは習慣的に食べることは避けた方が良いパンと言えそうだ。今回の調査でワーストとなったアンデルセンのデニッシュ系パン「スパンダワー」の値は2・10グラム。たった一つでWHO基準をオーバーしてしまう。これなどは恒常的に「食べてはいけない」パンと言われても仕方なさそうである。

 各店の見解については、つづく(2)にて。

週刊新潮 2019年6月6日号掲載

特集「WHOが警告! 悪玉コレステロールの心筋梗塞リスク! 食べてはいけない有名ベーカリー『パン』の危険物質」より

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