韓国株・為替ともに急落 日韓経済戦争の「戦犯」文在寅に保守から「やめろ」コール

鈴置高史 半島を読む 国際 韓国・北朝鮮 2019年8月5日掲載

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93%が「文在寅が始めた戦争だ」

――国を挙げて「日本との戦争」で盛り上がっているのですね。

鈴置: ええ、表面は。でも、新聞記事に寄せられる読者のコメント欄を見ると、全く異なる世界が垣間見られるのです。

 先ほど引用した朝鮮日報の社説「「四方から押し寄せる複合危機、克服できなければ未来はない」」(8月3日、韓国語版)。

 読者のコメントはほとんどが「こんな状況に陥ったのは文在寅のせいだ」と主張するものでした。掲載されて24時間後までに寄せられた読者のコメントは231件。うち、大統領を支持したのはたった8件です。

 一方、大統領が日本との紛争を起こした、と指摘するなど、政権批判のコメントは215件に上りました。何と93・1%です。退陣を求めるものも22件ありました。「文在寅は安倍に心から謝罪せよ」と主張するコメントさえあったのです。

 なお、どちらとも分類できないコメントが3件、削除されたものが5件でした。

 政権批判が手ぬるい、と朝鮮日報を非難したコメントも目につきました。「周辺の4カ国が一斉に圧迫してきた」と朝鮮日報は悲鳴をあげています(「日・ロ・中・朝から袋叩きの韓国 米韓同盟の終焉を周辺国は見透かした」参照)

 先の社説も日本のホワイト国除外を軸に、「袋叩きにされる韓国」を論じましたが、自分の国の責任は一切問わず、危機に当たって団結しようと呼び掛けるのが主眼でした。そんな朝鮮日報の腰の引けた姿勢に、政権に批判的な韓国人は怒ったのです。

実名で語れば「親日派」認定

――保守系紙の読者コメント欄ですから、政権批判が多いのでしょうね。

鈴置: もちろんそうです。ただ、韓国や日本のメディアで報じられる青瓦台(大統領府)や韓国の役所、国会、市民団体の「日本が悪い」「日本と戦え」といった大合唱とは、あまりにかけ離れているのです。

「日本との約束を破った文在寅にこそ問題がある」と言ってくる韓国人もいます。が、相手が親しい日本人だから、そう言うのだろうな、と思っていました。しかし、そうした意見が「うちうち」でも、これほどに語られているとは。驚きました。

 この社説だけではありません。「ホワイト国から除外」以降は、保守系紙の関連記事の読者コメントの90%以上が政権批判なのです。

 朝鮮日報の「安倍、1月から準備を指示、永田町には『100件の報復リストあり』」(8月3日、韓国語版)などです。

――なぜ、政権批判が読者コメントに留まっているのでしょうか。

鈴置: 表立って政権批判すれば、「親日派」のレッテルを貼られてしまうからです。そこまでいかなくとも「内部対立を起こし、日本を有利にする」として、「売国奴」のレッテルを貼られるのは確実です。

 だから組織も個人も、実名を出す時は「日本が悪い!」と叫ぶしかない。一方、読者コメントは無記名ですから、本音が書ける。

安倍が怒るのは当たり前だ

――韓国人の本音は「文在寅が悪い」と見て良いのですか?

鈴置: 保守のかなりの部分はそう考えています。コメント欄には「日韓正常化交渉の際の合意や慰安婦合意を破った文在寅に安倍が怒るのは当たり前だ」といった意見が溢れています。

 証拠がもう1つあります。ハンギョレの「ついに“破局”を選んだ安倍、“国家力量”総結集し対抗しよう」は国民の団結を強く訴えた社説と紹介しましたが、こんなくだりもあるのです。

・日本が7月初めに半導体材料の輸出規制を下した時のように、韓日貿易戦争の勃発責任を安倍ではなく文在寅政府のせいにする一部野党と保守マスコミの無分別な行動がこれ以上あってはならない。
・日本の代わりに韓国を批判することに没頭する一部勢力の態度は、国民の審判を受けるだろう。

 韓国人のかなりが「文在寅が悪い」と考えていることを左派も十分、分かっている。だからハンギョレも、それが「文在寅政権打倒」運動につながらないよう「戦争勃発の責任を文在寅に向けるな」と予防線を張っているわけです。

「言うだけ番長」で墓穴

――事実は無視して「日本が悪い」と叫ぶのが韓国人と思っていました。

鈴置: その認識は基本的には正しい。ただ、自分に不利益が及ぶとなると、話は別です。2019年第1四半期に実質GDPがマイナスになるなど、韓国経済は不振に陥っています(「ウォン安が止まらない韓国、日米との関係悪化で“助け舟”も絶望的の自業自得」参照)

 そんな時に日本にケンカを売って、国の中核産業である半導体を文在寅政権は揺るがせた(「輸出規制に文在寅は打つ手なし、日本を非難するほど半導体は『韓国離れ』の皮肉」参照)。

 頼みの米国との関係も最悪で、今回は助けてもらえない(「日・ロ・中・朝から袋叩きの韓国 米韓同盟の終焉を周辺国は見透かした」参照)。

 かといって「日本に勝つ」策があるわけではない。そこで文在寅政権は勇ましいことを言って国民の離反を防いでいる。「言うだけ番長」です。

 しかし、言えば言うほど、大騒ぎするほどに韓国の半導体産業の先行きに疑問が持たれてしまいます(「輸出規制に文在寅は打つ手なし、日本を非難するほど半導体は『韓国離れ』の皮肉」参照)。文在寅政権は墓穴を掘っているのです。

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