京アニ放火殺人の悲劇を生んだ「爆燃現象」から我が身を守るには
「爆燃現象」によって炎と煙が建物全体に一気に広がり、35人が死亡――。逃げのびるのが難しいほどの大火災だった京都アニメーションの放火事件。一方、重軽傷を負いながら九死に一生を得た人も33人いた。生死を分けたものは一体何だったのか。
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日本火災学会の名誉会員で東京理科大学大学院の菅原進一名誉教授が言う。
「ガソリンは揮発性が高く、室内にまかれるとガスとなって充満します。そして、火がつくと急激に燃え広がることも特徴です。つまり、ガソリンがまかれて火がつけられると、建物内には一気に炎が広がるのです。このように、爆発的に燃焼する『爆燃現象』が今回の現場では起こっていたのでしょう。容疑者が重度のやけどを負っていることからも、逃げる暇もなく燃え広がったことが分かります」
さらに、今回の建物は複数の「悪条件」を備えていた。
「炎が早く燃え広がった原因の一つは、1階玄関付近から3階までつながっているらせん階段があったこと。それが煙突と同じような機能を果たし、そこを通じて炎、煙、可燃性のガスが混ざったものが急激に上がっていったのです。そして、それぞれのフロアで炎は天井に当たり、横に広がっていったと思われます」
と、菅原名誉教授。
「また、各フロアは、仕事をしている人同士がコミュニケーションを取りやすいように、壁がなくてオープンだった。壁があればそこで一旦炎がストップします。壁がなかったことで、横に燃え広がるスピードが速かったのです」
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