京アニ放火・青葉容疑者「万引き少年」が「下着ドロボー」から「爆殺犯」になるまで

社会 週刊新潮 2019年8月1日号掲載

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父親は自殺

 人知れず埼玉県内の別の中学へと移った青葉容疑者だったが、次第に学校から足が遠のき、当時の同級生は卒業アルバムの写真(掲載)を見ても「ほとんど記憶にない」と口を揃えるのだ。

 中学を卒業すると流転の人生に拍車がかかる。

 埼玉県内の定時制高校に通いながら、県庁の文書課で文書の集配をする非常勤職員として働いた青葉容疑者。

 その後、職を転々とするうちに、「タクシー運転手だった父親が事故でケガをして廃業に追いこまれ、まもなく自殺した」(当時の自宅の近隣住民)という。

 20代になると、きょうだいとも距離を置くようになり、春日部のアパートでひとり暮らしを始める。そして、2006年に最初の「事件」を起こす。

 当時の大家が明かすには、

「いきなり警察がやって来て“下着泥棒の捜査でご協力を”という。彼の名前を言うので部屋を教えました。午前中でしたが、コンビニの夜勤明けだったのか彼はまだ寝ていた。警察に叩き起こされ、そのまま連行されていきましたよ」

 それから6年後にはコンビニ強盗で逮捕。服役後はさいたま市内のアパートに移ったが、隣室の住人は、

「7月14日の深夜、隣の部屋から“うわぁぁ!”という叫び声がして壁をドンドン!と何度も叩いてきたんです。恐る恐る隣の部屋のドアをノックすると、飛び出してきた彼に胸ぐらと髪の毛を掴まれた。“お前殺すぞ!”“こっちは失うものは何もねぇんだよ!”と大声で繰り返されて……。180センチ近い長身で、でっぷりとした体からはすえた臭いがしました。本当に殺されるかと思いましたよ」

 その4日後、失うもののない男は「本当に」大量殺人事件を引き起こす。

 今回の事件現場付近では数日前から多数の住民に青葉容疑者の不審な姿が目撃されていた。台車に携行缶を載せて歩き回り、公園で野宿する巨体の男。なぜ警察はこの怪しい人物に職務質問できなかったのか。伏見署は「事件前に不審者に関する通報はなかった」というが、近くには交番もあるのに、京都府警はそんなに人手不足なのか。元神奈川県警刑事の小川泰平氏は、

「容疑者は自宅から遠く離れた場所で野宿し、所持金もわずか。照会すれば強盗の前科も分かる。事件前に職質すれば要注意人物としてマークできたはずです」

 様々な不運が重なった今回の事件。だが、警察の対応はただの「不運」では片づけられない。

特集「新聞・テレビが報じない闇! 京アニ『68人殺傷犯』41歳の『黒い履歴書』」より

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