早くも販売開始された“五輪選手村マンション”、「晴海フラッグ」最大の弱点は

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1棟まるごと売れ残り

 晴海フラッグの(タワー2棟を除く)1戸当たりの平均面積は約84平方メートル。都内のマンションは約63平方メートルなので、少々広めと言える。

「面積が広いので、坪300万円ほどと単価を抑えています。晴海フラッグの近くにある、もっと駅よりのマンションでは坪400万円弱ですから、割安感はありますが、果たして売れるかどうか。第一期販売分で600戸超ということですが、マンション販売では、第一期が一番売れるものです。私の経験からいえば、約4100戸のうち、1000戸ほどは売ってくると思っていました。これは販売主が弱気になっている証拠。第一期の販売で即日完売くらいの売れ行きでないと、完成の4年後に売れ残る可能性もあるとみています」

 この晴海フラッグ、海が見えない部屋なら、坪200万円台半ばというから、さらに割安感がある。が、湾岸マンションはそもそも供給過剰で、売れ残りも多いという。

「晴海では、住友不動産が昨年秋に400戸ほど売り出したマンションがあるのですが、相当数が売れ残っています。晴海フラッグは、五輪が終わって3年後の完成ですが、今年10月の消費税増税で確実に景気が悪化します。五輪後も景気が下降する可能性が十分考えられますので、マンションの売れ行きにも影響がでてきますよ。最悪の場合、1棟まるごと売れ残りなんて事態も起きかねません」

 晴海フラッグを販売するのは、三井不動産レジデンシャル、三菱地所レジデンス、野村不動産、住友不動産など大手10社だ。

「大手デベロッパーは、正直言って、マンション供給過剰で液状化の危険もある湾岸地域ではもうマンションを建てたくないというのが本音です。ところが、都から格安な値段で土地を購入できたから開発に着手したわけです。選手村もつくるわけですから補助金もでます。五輪の後、建物は外殻だけ残して内装をすべて作り直すことになります。坪300万円で売れれば、ボロ儲けですよ」

 晴海フラッグでは、学校から商業施設まで、すべて備わっているという。

「幼稚園や保育園、小中学校が敷地内にあり、大型商業施設もできますから、街としては完結しているので、敷地内から出なくても生活ができます。また、燃料電池車用の水素ステーションも設けるそうです。完成したら、最先端の街になるでしょうね。まあ、10年くらいそこで暮らす分には問題ないでしょうが……」

 問題は、10年後。中古物件となったときだ。

「マンションを購入したい人が、第1条件にあげるのが、駅から近いかどうかということ。ですから、駅から遠いというのは、やはり致命的ですね。場所も不便となれば、中古だと、見向きもされません。将来的に価格がかなり下落する可能性が高いですね」

 転売目的の物件としての価値はあまりなさそうである。とにかく、他より安くマンションを購入したいという人にはオススメの物件のようだ。

週刊新潮WEB取材班

2019年7月26日掲載

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