朝日新聞「ハンセン病家族訴訟」大誤報、釈明記事でも重大事実を隠蔽していた

社会 週刊新潮 2019年7月25日号掲載

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朝日新聞「ハンセン病家族訴訟」大誤報の舞台裏(1/2)

「ハンセン病家族訴訟」を巡る朝日新聞の大誤報。「朝日はハメられた」などとする説がまかり通っているが、とんでもない。その実態は「第二の吉田調書事件」と呼ぶにふさわしいもので、誤報翌日の「釈明記事」からは、極めて重大な事実が“消されて”いた――。

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 参院選前、朝日新聞の安倍総理批判は激化していた。だが、その憎悪の炎が強すぎるあまり、ついに朝日新聞自体に“引火”してしまったようだ。

 朝日が「ハンセン病家族訴訟」を巡って大誤報を打った背景には、「安倍総理のイメージダウンを図りたい」との歪んだ思惑があった、というのは衆目の一致するところである。それだけでも新聞社としての屋台骨が揺らぐ事態だが、より大きな問題を孕んでいるのは、誤報の翌日に掲載された「経緯説明記事」。その記事において、重大な事実が隠蔽されていることは、まだ全く知られていない。

〈ハンセン病家族訴訟 控訴へ〉

 朝日の朝刊の1面トップにそんな見出しが躍ったのは、7月9日。

〈元ハンセン病患者の家族への賠償を国に命じた熊本地裁判決について、政府は控訴して高裁で争う方針を固めた。一方、家族に対する経済的な支援は別途、検討する。政府関係者が8日、明らかにした〉

 そう伝える記事が掲載された朝刊が朝日の読者、560万世帯に行き渡った9日朝、安倍総理は「控訴断念」の方針を表明したのである。結果、1面トップ記事は大誤報となり、朝日は9日の夕刊に「おわび記事」を掲載。10日朝刊には〈本社記事 誤った経緯説明します〉と題する、栗原健太郎政治部長の署名が入った釈明記事が載った。

 大誤報問題の背後に横たわる、深刻な宿痾。それに触れる前に、目下世間に流布されている誤解を正しておきたい。今回の件を受け、意外に多くの人が「朝日はハメられた」との説を信じているようだが、それは完全な間違い。安倍総理と朝日が敵対関係にあることを背景として編み出されたのであろうその陰謀論は、

「朝日は官邸に『控訴へ』というガセネタを掴まされた。安倍総理は朝日がそれを記事にしたのを知って、『控訴断念』を表明。結果、スクープ記事は大誤報になってしまった」

 といったストーリーで、あたかも朝日が「被害者」であるかのように語られているのだが、そこには事実が一つも含まれていない。むしろ実態はその逆で、朝日が安倍総理を「ハメよう」としていたからこそあの記事は世に出たのだ。

「安倍総理は9日朝になって急遽、『控訴』から『控訴断念』へと方針を変えたわけではありません。少なくとも前日、8日の夜にはその方針を固めていた。だからこそ、9日午前2時1分にNHKが『控訴断念へ』と報じ、毎日新聞も同日朝刊で『政府内に控訴断念論』と書いたのです」(テレビ局の政治部記者)

 また、朝日の関係者も、

「ウチがハメられた、というのは事実ではない。単なる間違いです」

 と言うのだが、今回の誤報は“単なる間違い”で済むような問題ではない。

「誤報の背景には、参院選がある。仮に、安倍総理が『控訴』という判断をすれば、ハンセン病患者の家族からは、総理は人権を無視しているという批判が出て、選挙にマイナスになったはずですから。朝日には『控訴』である方が都合が良かったわけです」(朝日とは別の全国紙の政治部デスク)

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