参院選落選の市井紗耶香 「選ばれない女」というポジションと人生

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 立憲民主党から出馬した市井紗耶香、落選。私は「選挙の日は投票行って外食」、と無意識に刷り込まれているモーニング娘。世代であるが、思えば市井はモーニング娘。内でも影が薄いというか、いまひとつ「選ばれない」こと続きのポジションだったように感じていた。今でいうならAKBの峯岸みなみ的なポジション。顔はみんな知っている、でも一番好きなメンバーとして名前が挙がらない立ち位置。

 当時グループにはトップ人気を誇る安倍なつみがいて、さあこれから自分たちの番という時にエース・後藤真希の加入。続いて石川梨華・吉澤ひとみの美人コンビと、加護ちゃん辻ちゃんが暴れ出す。同期の矢口真里は低身長とロリ顔を生かしつつバラエティで頭角を現し始め、保田圭は「うたばん」で石橋貴明に必ずイジられていた。こうして周りのメンバーは確固たるポジションを築き始めていた一方、市井のイメージはあまりない。在籍時のラストシングル「ハッピーサマーウェディング」でさえセンターになれず、PVにもほとんど映っていないほどだ。プッチモニではセンターに抜擢され、スタイルの良さとさわやかさは残したものの、目を引く華やアクはなかったように記憶している。

 その後「シンガーソングライターになりたい」と16歳でモーニング娘。を卒業し、休業を発表。2年後にバンドを組んで再デビューするも、鳴かず飛ばずで引退宣言。20歳でバンドメンバーとできちゃった婚をした後、第2子出産後にまた芸能界復帰と、迷走ぶりを見せている。

 離婚とできちゃった婚を繰り返し、今では4人の子どもを持つ親になった市井。現役当時は奇しくも「母さん」というアダ名もあった。でも「ママタレ」という立ち位置でも、彼女の存在感は薄い。炎上はしても辻ちゃんや、藤本美貴の知名度には及ばないのではないだろうか。

 2014年には大人AKBオーディションに挑戦するも、最終選考で落選したことが明かされている。ことごとく、「時代に選ばれない女」なのである。

 そして参院選への出馬である。正直、「ここまで来たか」と少しがっかりしてしまった。彼女の出馬表明に対して私が感じたのは、子育て世代に優しい政治への期待よりも、長年腐らせ続けた功名心の匂い。アイドルでも歌手でも1番になれないなら、政治でひと花咲かせよう、というような焦りと野心。やはりというかなんというか、彼女はまた、選ばれなかった。

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