筋トレ、食生活、サプリ…中高年でも間に合う「若返りホルモン」の増やし方

ドクター新潮 健康 長寿

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中高年でも間に合うという「若返りホルモン」の増やし方(2/2)

 若さを保つには「若返りホルモン」の分泌量と運搬ルートをキープせよ――。前回ご紹介したのは、成長ホルモン、DHEA、メラトニンの三つがアンチエイジングにつながるメカニズムだった。その産みだし方、活かし方を見ていこう。

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 DHEAは筋肉量と関係し、成長ホルモンは筋トレをすると分泌されるという話だった。内科系等のほかアンチエイジング系の研究にも取り組む、ハーバード大学とソルボンヌ大学両医学部の客員教授、根来(ねごろ)秀行氏に実践方法を説いてもらうと、

「筋トレで筋繊維が傷つくと、修復しようとして成長ホルモンが分泌されるのです。ただ、筋肉の修復には48~72時間かかるので、毎日同じ個所を鍛えるのは好ましくない。鍛える個所を上半身、お腹回り、下半身に分け、3日のローテーションで行うことを勧めています。上半身は腕立て伏せ、お腹回りは上体起こしや、伸びをした状態でお腹をねじって30秒キープする運動、下半身はスクワットがいいと思います」

 それがDHEAの増加にもつながるわけだが、有酸素運動と組み合せると効果的だという。

「筋トレによって体の末端では酸素の需要が高まります。そこで有酸素運動をして血液を体中に巡らせれば、筋肉周辺の毛細血管を保てることがわかっている。こうしてホルモンが行きわたるルートを確保します」

 それぞれの運動だが、

「心拍数が通常値より2、3割アップする程度がいい。5分の筋トレと、15~20分程度のウォーキングを1セットとするといいでしょう。スポーツクラブに行くよりも、日常のなかで継続することのほうが大事です」

 加えて睡眠。

「睡眠は平均90分サイクルで深くなったり浅くなったりします。入眠後の2サイクル、約3時間で特に深くなり、その間に1日の分泌量の7割程度の成長ホルモンが出ます」

「睡眠は5サイクル、7時間程度が一番健康的だといいます。最初の3時間で分泌された成長ホルモンが、残り4時間で全身を巡るからです。私が所属するハーバード大学医学部関連病院で1万人以上を対象にした研究でも、7時間睡眠が心臓病の発症率が低く、死亡率も一番低い」

 食生活はどうだろう。

「空っぽの胃袋に食べ物が入ると、グレリンというホルモンが分泌され、それが脳下垂体を刺激して成長ホルモンの分泌が促されます。だから、空腹を感じてから食べるのが好ましい」

 そう説く同志社大学生命医科学部アンチエイジングリサーチセンターの米井嘉一教授は、このように続ける。

「成長ホルモンはアミノ酸がつながったペプチドホルモンなので、タンパク質を摂取することが大事です」

 根来教授の提案は、

「朝食、昼食、夕食を毎日同じ時間にとること。そうすれば消化のリズムと体内時計が合って、メラトニンが出やすくなります」

 メラトニンに関して、米井教授の話を加えると、

「夜、カフェインをとると出にくくなるので、僕は18時以降は、コーヒーを飲まないようにしています。あと、朝の覚醒時に明るい光を浴びてメラトニンの分泌を止めてあげると、夜間に分泌しやすくなります」

 では、DHEAを増やす食生活とはいかに。

「DHEAの原材料はコレステロール。食品から摂取するコレステロールはある程度必要で、卵などをしっかり食べましょう」(同)

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