中朝会談、習近平は金正恩を米国に売るのか “北朝鮮分割”という最終手段

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韓国は「戦犯国」に認定

 この「中国案」では、羅津(ナジン)港を含む咸鏡北道はロシアが統治します。ロシアに念願の「極東の不凍港」を与えるなど、顔を立てています。

 中国は自国に接する広大な地域を、東北部を除き管轄します。咸鏡南道も得て、初めて日本海側への出口を獲得します。中国にとって実に都合のいい線引きでして、それだけに本物らしく見えるのです。

 米国と韓国は北朝鮮の南半分を得ます。それにより、韓国は首都・ソウルが軍事境界線と40キロほどしか離れていないという脆弱性をある程度、改善できます。

 ただ、この案は韓国が保守政権の時代に表に出たものです。今の親北反米の韓国は、露骨に北朝鮮の核武装を幇助しています。金正恩体制の崩壊後、韓国は連座して戦犯国家に認定される可能性が高い。となると、こんな配慮はしてもらえないかもしれません。

――「金正恩後の分割案」まで存在するのですね。

鈴置: 結局、北朝鮮の非核化の行方は米中、それにロシアが加わって決めることになります。核を持った国々です。

 今回、中国は14年ぶりに国家主席を北朝鮮に送りました。2006年10月の北朝鮮の第1回目の核実験以降、初めてです。

 どういう形の解決策になるかは中国も分かっていないでしょう。でも、ついに重い腰はあげたのです。

鈴置高史(すずおき・たかぶみ)
韓国観察者。1954年(昭和29年)愛知県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。日本経済新聞社でソウル、香港特派員、経済解説部長などを歴任。95〜96年にハーバード大学国際問題研究所で研究員、2006年にイースト・ウエスト・センター(ハワイ)でジェファーソン・プログラム・フェローを務める。18年3月に退社。著書に『米韓同盟消滅』(新潮新書)、近未来小説『朝鮮半島201Z年』(日本経済新聞出版社)など。2002年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞。

週刊新潮WEB取材班編集

2019年6月22日掲載

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