女子レスリング、伊調馨vs川井梨沙子 世界選手権は川井の方が成績を残せるとの声

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栄氏も観戦

 これで伊調、川井を含め、男子合わせて6階級が7月のプレーオフ決戦に臨む。天皇杯全日本と今大会をともに制した選手は世界選手権代表だが、割れた場合はプレイオフなのだ。勝ち抜いて世界選手権で3位以内なら夢の東京五輪代表が確定する。しかし、4位か5位なら、再び12月の全日本選手権で優勝すれば五輪代表だが、負ければ優勝者と再びプレイオフなどで争われる。「東京五輪ロード」も終盤だがすんなり決まるかどうか。

 今回の大会、リオ五輪の金メダリストでは68キロ級の土生沙羅(24)=東新住建=は決勝で古市雅子(22)=自衛隊体育学校=にリードされていたが土壇場でひっくり返して世界選手権代表を決めた。しかし、五輪後に怪我に苦しむ50キロ級の登坂絵莉(25)=東新住建=は今大会で吉田沙保里がセコンドについてくれたが、決勝で新鋭の須崎優衣(19)=早大=に一方的に敗れた。登坂は天皇杯も敗れているため、五輪代表の可能性はゼロではないが相当厳しくなり、試合後は泣き続けていた。

 さて、会場では現在、至學館大学の外部コーチとして川井姉妹らを指導している栄和人氏(前日本代表強化本部長)は人目につかぬところで観戦していた。実は至學館大学の谷岡郁子学長は今大会で栄氏がセコンド役で参加することを申し出ていたそうだが、最終的にはパワハラ騒動からの批判を恐れた協会が「時期尚早」として実現しなかった。協会の福田富昭会長は「マットサイドに彼が現れるとマスコミさんが試合そっちのけで違う方向の取材ばかりになってしまうことも心配だった」と話した。盛り上がる女子レスリングに報道陣の数も凄かった。とはいえ、やはり名伯楽の復帰も見たい。

粟野仁雄(あわの・まさお)
ジャーナリスト。1956年、兵庫県生まれ。大阪大学文学部を卒業。2001年まで共同通信記者。著書に「サハリンに残されて」「警察の犯罪」「検察に、殺される」「ルポ 原発難民」など。

週刊新潮WEB取材班

2019年6月20日掲載

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