仮想通貨「マウントゴックス事件」で逮捕 カルプレス氏が語るゴーン容疑者との格差

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今回は失敗したけれど

 社長時代は、目黒区内にある月150万円の家賃の超高級マンションのペントハウスで暮らしていた。それが一転、「今は本当に普通の場所で暮らしていますよ。飼い猫が部屋の窓から外を眺めることさえできれば、それでいい」。猫好き、日本好きのこのフランス人は、自身の今後についてこう語る。

「今、世界のIT技術は米国に支配されていますが、かつて日本の技術力は世界一でした。任天堂やナムコのゲームに代表されるように、ソフトウェアも強かった。しかし今は、技術力が弱っている……新しい技術が必要なのです。Google、Amazonに匹敵するような、日本初のサービスを提供したい」

 現在は、IT技術関係の日本企業「トリスタン・テクノロジーズ」で最高技術責任者として働いている。既に新たな技術を世に出しているそうで、今取り組むのは“インストールなしで好きなアプリが簡単に使えるOS”だとか。

「今回は大きな失敗をしたけれど、成功もあれば失敗もある。今回はハッキングを止めることができず、本当に申し訳ないことをしました。でも失敗を恐れ、何もしないのはダメ。日本が遅れを取っている理由も、ここにあるのかもしれません。米国の“You Can Do It!”の精神は大事だと思います。失敗しても諦めない。またチャレンジしていきたい」

 現在マウント社は民事再生手続き中。今年10月28日を期限として、再生計画書を提出するとしている。すでに前を向くカルプレス氏だが、“事件”はまだ終結してはないのだ――。

瀬川牧子/ジャーナリスト

週刊新潮WEB取材班

週刊新潮 2019年5月30日掲載

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