交際バッシングで加速する? 田口淳之介・小嶺麗奈逮捕に見るロミオとジュリエット効果

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 大麻所持容疑で揃って逮捕された田口淳之介・小嶺麗奈カップル。本人たちの供述も食い違っているが、連日の報道は小嶺容疑者の黒い交友やギャンブル好き・夜遊び好きの側面を強調したものが目立つ。純粋で世間知らずな元ジャニーズの美少年を、悪の道に引きずり込んだ年上の悪女、と言う論調にしたいかのようだ。

 とはいえ、田口も30を過ぎた大人である。個人事務所の社長として、これから踏ん張り時だったはずだ。彼女の言いなりに犯罪に手を染めた、と言うのではそれはさすがに社長としても大人としても未熟すぎるのではないだろうか。

 以前、元貴乃花夫人の花田景子のことを書いたが、世の中は年上女房を「前途有望な青年をたぶらかした」という論調で叩くことが多い。例えば、ジャニーズなら言うに及ばず、木村拓哉と結婚した工藤静香である。キムタクと結婚した途端に「嫌われる女ランキング」常連入り。情報の出どころが定かでもないのに、今や SMAP解散の戦犯とも言われる始末だ。また二宮和也・伊藤綾子カップルもこれに当てはまる。伊藤も工藤静香同様、ニノをたらしこんだ年上のあざとい匂わせ女、と猛バッシングを浴び続けている。表舞台から身を引いたのに、さすがに気の毒な気もするほどだ。

 翻って小嶺麗奈である。2007年ごろから田口と交際が始まった時、ジャニーズ事務所側は交際そのものというより、不穏な交友関係を持つ女性だから猛反対したという。しかし世の中には、反対されればされるほど盛り上がる、ロミオとジュリエット効果というのがある。人気絶頂時に、工藤静香とできちゃった結婚したキムタクも、そうだったのかもしれない。不倫疑惑が根強いまま、宮崎あおいと結婚した岡田准一にも、ロミジュリ思考の気配を感じる。今回の田口・小嶺両名にしてみても、障害があればあるほど燃え上がり、悲劇の主人公化していった側面があるのではないかとも思うのである。

依存していたのは大麻ではなく互いの存在? バッシングで加速するロミジュリ効果

 田口は小嶺の愛に応えるように、これから、という時期に事務所を退所。小嶺も田口のマネージャー兼プロデューサーとして、裏方に転身していた。そもそも彼女自身、芸能界にはそこまで興味がないと自身のブログで語っていたようである。写真誌に撮られた時も、自分ではなく田口側のファンに配慮するような言動も見せていたが、かえって「勝ち誇って何様のつもり?」と、ファンの怒りを煽っていた。実際に彼女が手がけた店は、ファンの嫌がらせもあり、閉店に追い込まれたようだ。それでも本人は本当に、田口を立てるつもりで行動し続けていたのだろう。今回も、「大麻は私一人のもの」と田口をかばうような供述をしている。相手をかばうのは美談のようだが、二人の世界に酔っているようにも見える。芸を捨てても愛を貫く二人。落ちるところまで落ちても離れない二人。ロミオとジュリエットというよりか、さしずめボニー&クライドか。

 ちなみに薬物事件で逮捕された元ジャニーズと言えば、覚醒剤所持で逮捕された元光GENJI・赤坂晃がいる。彼の妻は年上の一般女性だった。そして逮捕時に妻子に迷惑がかからないよう、離婚を公表している。また、年上の妻を持ち、薬物事件を起こした人物といえばASKAも思い出されるが、彼の妻の場合は「もう捕まえて欲しい」と語り、警察にも協力的だったとされる。本当に相手を思うなら、田口や小嶺が頼るべきは盲目の愛ではなく、彼らのような冷静さではなかったか。

 事務所に反対され、世間からも反対される交際。芸能人なら誰しもが通る理不尽な宿命だが、ジャニーズはこと厳しい。しかし今回の事件は、締め付けすぎるとこうなる、というロミオとジュリエット効果の一番悪い見本と言えるのではないだろうか。まだ依存の程度は不明だが、依存していたのは大麻ではなく、互いの存在。だからこそ引くに引けないところまで来てしまったように感じる。

 ファンやメディアが反対の声を上げれば上げるほど、彼らの意思を固くし、二人の世界へと入り込んでいってしまうカップルたち。もちろん、田口たちのように犯罪世界へ手と手を取り合って行くのはまれだが、批判すればするほど恋愛に固執する可能性は高いように思える。まずは過熱する報道で、本人たちのロミジュリ化が加速しないことを願う。引き続き事件の解明と、両容疑者の更生を見守りたい。

冨士海ネコ

2019年5月29日掲載

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