小室圭さん報道、本当はこう言いたいんでしょ?(中川淳一郎)

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 眞子さまの婚約内定者・小室圭さんに対する報道やメディアの取り上げ方を見ると、なんだかモヤモヤします。「猛烈に叩きたいけど、奥歯にモノが挟まった感じでソフトに違和感を表明する」という空気がとにかく漂っているからです。

 本当はこう言いたいんでしょ?

「母親と元婚約者の間の400万円の金銭問題について解決できてないのに、3年間も日本を離れて留学って、その間眞子さまどうするの? 人生で重要な若い頃の3年間、ほったらかしでいいの? というか、貴方のために税金から結婚の際の一時金1億5千万円程を使ったり、現在でも実家の警護費用使うの、抵抗あるんですけど……。あと、超絶優秀な人しかもらえない『学費免除』をもらうって、法学部出ていないのにどーいうこと? せめて東大法学部を首席で卒業し、日本の弁護士資格も持っているなんて人であれば、そこそこ信用できるけど、そうじゃないのにあの奨学金をもらえるって皇室を利用していません?」

 小室さんの初登場時、若干「えっ?」的な声はあったものの、基本的には日本中が祝福ムードに包まれました。眞子さまのお写真をケータイの待ち受け画面にしていたという渋谷駅前の男子大学生が、テレビの取材に対し、ショックを受けつつも親指を上げ、「でも幸せならOKです」と男気を見せて話題になる、といった余波もありました。

 あの時も、一部の人は小室さんに対して「う~ん、なんか違うんだよな、この人……」といった感覚を持っていたでしょう。一言で言うと「らしくない」んですよ。紀宮さまこと黒田清子さんの夫である黒田慶樹さんは初登場時、東京都職員で、寝癖がお茶目な「朴訥で真面目な人」的イメージで歓迎ムード一色でした。

 しかし、小室さんが出てきた時は、茶髪写真が発掘されたり「海の王子」に選ばれた過去などもあり、「この人が将来の天皇の義理の兄になるの?」と思った人もいたのでは。「オッ、オォ……(沈黙)」みたいな。いや、茶髪も海の王子もいいけど。

 あとは、銀行を辞め、一橋大学の院に通いながら法律事務所でパラリーガルになり、婚約内定会見があったと思ったら図太い母ちゃんが出てきて、批判報道が出たら米のロースクールに超優遇状態で入るのもアクロバティック過ぎる。

 正直、私など「一橋の国際企業戦略研究科」の時点で「ハッ?」と思いました。経営法務コースとはいえ商学部系なのに、なぜ法律事務所に勤め、ロースクールに行く?と。

 昨今の国立大学の院って、正直「学歴ロンダリング」に利用されている感があります。内部から院に進学した人たちの、「あいつらとオレらを一緒にしないでくれ」という声は時々聞きます。いや、「ICU→米ロースクール」でいいのになぜわざわざ一橋の商学部系院を挟む?

 小室さんの「世渡り上手感」と、皇室という日本最大の権威を得た「勝ち組感」が、凡百の庶民からすれば「チクショー、うまいことやりやがって!」と嫉妬に繋がり、妙な論調の報道になっているのではないでしょうか。これで彼がアメリカの司法試験に合格したら完全にゲスの遠吠えですが。

中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)
1973(昭和48)年東京都生まれ。ネットニュース編集者。博報堂で企業のPR業務に携わり、2001年に退社。雑誌のライター、「TVブロス」編集者等を経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『ウェブでメシを食うということ』等。

まんきつ
1975(昭和50)年埼玉県生まれ。日本大学藝術学部卒。ブログ「まんしゅうきつこのオリモノわんだーらんど」で注目を浴び、漫画家、イラストレーターとして活躍。著書に『アル中ワンダーランド』(扶桑社)『ハルモヤさん』(新潮社)など。

週刊新潮 2019年5月2・9日号掲載

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