文在寅は金正恩の使い走り、北朝鮮のミサイル発射で韓国が食糧支援という猿芝居

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ICBM迎撃に成功

 北朝鮮が困惑の度を深める理由はまだある。3月25日に米国がICBM(大陸間弾道ミサイル)の迎撃実験に成功したことだ。

 北朝鮮は「ICBMの開発を放棄する代わりに短・中距離弾道ミサイルと核弾頭の保有は認めよ」との取引を画策してきた(拙著『米韓同盟消滅』[新潮新書]第1章第3節「北朝鮮は誰の核の傘に頼るのか」参照)。

 しかし米国がICBMを撃ち落とせるようになった今、北朝鮮の交渉カードは一気に陳腐化した。金正恩委員長も施政演説で「今、米国では我々のICBM迎撃を想定したテストが実施されるなど朝米共同声明の精神に逆行する敵対的な動きが露骨になっている」と自らが不利な状況に追い込まれたことを認めた。

 施政演説の最後では「今年の末までは忍耐力を持って米国の英断を待つ」と上から目線で米国の譲歩を誘いもした。ただ、「今年の末」と時間を区切ったことで「それまでに食糧難を解決しないと体制が持たない、と焦っているのだろう」と見切られてしまった。

人道支援を名目に援助引き出す

 追い詰められた北朝鮮は、藁にもすがる思いでミサイルを撃ったのだろう。もちろん、決定的な弱みを持つ以上、少々挑発しても米国からは無視され、制裁を続けられてしまう可能性が高い。

 ただ「人道支援」の理由が付けば、国際社会から食糧援助を引き出せると計算したに違いない。ロケットやミサイルの発射が「飢餓」に関する国連報告書発表の翌日だったのも何やら臭う。

 北朝鮮が「使い走り役」に選んだのは韓国である。韓国はその役目を立派に果たして見せた。

 ミサイル発射の翌5月5日、左派系紙のハンギョレが社説「『圧迫を超え対話』の必要性を確認させた北朝鮮の“武力示威”」(韓国語版)で「北朝鮮に対する食糧援助を含む人道支援は南北及び米朝対話再開の鍵となる」と訴えた。要は、食糧を送れば北はおとなしくなる、と主張したのだ。

 5月7日、与党、共に民主党の洪永杓(ホン・ヨンピョ)院内代表も「政府は米国、国連とともに食糧支援を含む人道的な次元の支援を積極的に検討せねばならない。南北、米朝の対話のきかっけになる」と主張した。

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