文在寅は金正恩の使い走り、北朝鮮のミサイル発射で韓国が食糧支援という猿芝居

韓国・北朝鮮2019年5月10日掲載

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 北朝鮮がミサイルを撃った。すかさず韓国政府が対北援助に動いた。与党と左派系紙は「食糧援助すればおとなしくなる」と説明した。経済難に陥った北を南が救う猿芝居が始まった。(文/鈴置高史)

ロシア製の「イスカンデル」か

 5月4日朝、北朝鮮が東部の元山(ウォンサン)から日本海に向け数発の「飛翔体」を発射したと韓国軍が発表した。翌5日、朝鮮中央通信は「5月4日に金正恩(キム・ジョンウン)委員長が大口径で長射程のロケット砲と戦術誘導兵器を用いた火力打撃訓練を指導した」と報じた。

 専門家の多くは北朝鮮が発表した画像などから「戦術誘導兵器」は短距離弾道ミサイルと断定した。低空を飛ぶため撃墜されにくく、射程が500キロあるロシア製の弾道ミサイル「イスカンデル」ではないかと見る専門家もいる。

 ただ、米政府は「ミサイル」と認めたが、「弾道ミサイル」とは断定していない。弾道ミサイルなら国連制裁決議違反となり、何らかの対応が必要になるためだろう。

 5月5日、ABCのインタビューに答えたポンペオ(Michael Pompeo)国務長官は「それらは北朝鮮の東の海に落下した。米国にとっても韓国、日本にとっても脅威となっていない」と、問題にしない姿勢を打ち出した。

トランプは激怒したが……

米政界をカバーするネットメディアのVOXは「Why North Korea’s “projectiles” launch isn’t a cause for concern ― yet」で、ホワイトハウスの内部に詳しい関係者の話を引用し、この演習に関しレクチャーを受けたトランプ(Donald Trump)大統領が「金正恩にバカにされた」と激怒した、と報じた。

 しかし大統領は表向きには、金正恩委員長に対し怒ってみせるどころか対話継続を期待していると、次のようにツイートした。

《この面白い世の中では何でも起こる。だが、金正恩は北朝鮮の経済発展への潜在力を十二分に知っているし、それを邪魔したり終わらせるつもりもないと私は信じている。彼もまた、私が彼と共にあり、私への約束が破られることを望んでいないと知っている。取引は可能だ! 》

食糧難で政権が崩壊するぞ

 なぜ、米政府は北朝鮮に対し、これほどに「寛容」なのだろうか。トランプ政権の顔に泥を塗るやり口は不快極まりないものの、経済制裁を維持し北朝鮮を締め上げ続ければ、いずれ金正恩委員長が白旗を掲げてくると読んでいるからであろう。

 ABCとのインタビューで、ポンペオ長官はその思惑を露骨に語っている。以下である。

《 金曜日(5月3日)の国連の報告書によると、北朝鮮の国民の50%が深刻な栄養失調の危機に直面している。つまり、非常に困難な状況にあるということだ。彼ら(北朝鮮の指導層の人々)はもし核兵器を放棄すれば、彼らの国にとってとてつもない利益がもたらされる半面、核を持ち続ければ危険にさらされることを理解せねばならない。》

「国連の報告書」とはFAO(国連食糧農業機関)とWFP(国連世界食糧計画)が5月3日に発表した北朝鮮の食糧事情に関する評価報告書のことだ。

 それによると北朝鮮は2018年、干ばつや高温などの自然環境に加え、経済制裁による肥料、燃料の不足でここ10年間で最悪の食糧事情に陥った。

 2019年1月以降も状況は悪化するばかりで、食糧の配給量が1日当たり80グラム減って300グラムに。報告書は国民の40%に相当する1010万人が栄養失調に陥っているとして緊急支援を訴えた。

 ポンペオ長官はこの報告書を引用し、核を手放さない限り制裁を続ける。間もなく国全体が飢餓に陥るぞ、と脅したのだ。さらには、政権が倒されることになるかもしれないな――とも凄んで見せた。

金正恩の首のすげ替えが正着

 金正恩委員長の弱みをズバリ突いた発言だ。北朝鮮から漏れてくる情報によれば、国民の間で政権に対する不満が急速に高まっている。「委員長様がトランプを騙して制裁を緩和させるので経済難はすぐに解決する」と教えられ我慢してきたのに、食糧不足はひどくなる一方だからだ。

 体制への不安から国を脱出する政府高官や高級軍人も絶えない。4月25日にウラジオストクで開かれたロ朝首脳会談の準備のため、訪ロした複数の外交官が亡命したとの情報もある。

 金正恩委員長も国民の間で高まる不満に不安を募らせているのは間違いない。4月12日の施政演説で、弱音を吐いてしまっている。関連部分を要約して翻訳する。

《米国は一方では関係改善と平和の風呂敷包みをいじりながら、他方では経済制裁に必死に執着し、まずは武装を解除した後、体制を転覆するとの野望を実現する条件を整えようと躍起である。》

 金正恩委員長の念頭にあるのはリビアのカダフィ大佐だ。米国から脅されて核を放棄したら、欧米の支持を得た反カダフィ派に殺されてしまった、アラブの独裁者の二の舞になる恐怖を思わず漏らしたのだ。

 トランプ政権で対北朝鮮政策の指揮をとるボルトン(John Bolton)大統領補佐官は「リビア方式」を堂々と主張する。対北交渉に当たるポンペオ国務長官はCIA長官だった2017年7月20日、公開の席で「金正恩の首のすげ替えが最も正しい非核化の手法である」との趣旨で講演した人である。金正恩委員長が恐れおののくのも当然だ。

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