平成の31年間で「ワイドショー」はどう変わったか 有田芳生と東国原英夫の違い

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減った反政権系コメンテーター

 もちろん、東国原ひとりを責めてるわけでもありません。たとえば、同じくワイドショーでよく見かける政治系のコメンテーターなら、「ひるおび!」(TBS系)のスシローこと田崎史郎だって、ワタシの耳には「官邸のほうから来ました」と言ってアベノミクスやらアベガイコーやらを売り歩く政権のセールスマンにしか聞こえないから、話聞く時間がもったいない相手。似たようなことは、同じ番組のサブ司会の八代英輝も言えて、ネットには「スシロー&ヤシロー」なんて揶揄もある。

 ただ考えてみりゃ、スシローもヤシローもかわいそうと言えばかわいそうで、昔っから党派性丸出しの政治コメンテーターはフツーにいた。ただ、野党の力が今よりあったから反政権系のコメンテーターがもっといたし、自民党が派閥で割れてたから同じ与党系でも竹下派出入りのコメンテーターと森派出入りのコメンテーターは対立していたしで、バランスはなんとか取れてて、誰かが仲間褒めと敵貶しに熱中してても、ひどく偏って見えたり、ひどくポチに見えたりすることはなかった。

 安倍一強が続いてワイドショーの政治の扱いも歪んじゃって、反安倍・非安倍のコメンテーターを起用させることがめっきり減り、それでスシローやヤシローが浮いて見えるわけでね。また有田の話で恐縮ながら、「ザ・ワイド」も番組として安倍贔屓で、彼が小泉政権で自民党の幹事長に引き立てられたときもゲストに呼んで、草野が「行列のできる幹事長」なんてヨイショしてたとき、脇の有田はそれこそ「雨ニモマケズ」式に「決シテ瞋ラズ/イツモシヅカニワラッテヰル」という具合で、距離を置き、バランスを取ってた。「サウイフこめんてーたーヲ/ワタシハミタイ」。

 安倍一強を生きるスシロー&ヤシローにしたって、本音のオベンチャラは減らして建前の政権批判でも混ぜときゃ悪目立ちしないのに、とは思う。でも、失われた30年の平成も終わる今、ニッポンだって勝った奴は徹底的に勝つ、勝者総取りの国になりつつあって、そういう平衡感覚は制作側にも出演側にも相当薄い。

 ワイドショーのコメンテーター批評ってのは、やってて虚しいことも多くて、それは結局のところ、ツッコミどころはコメンテーター個人より、彼・彼女を起用する制作側にこそあったりするから。ショーンKの経歴詐称騒ぎだって、あの中に多少なりとも罪があるのだとすれば、そのかなりの部分は、コメンテーターに引っ張ってきた「とくダネ!」が負うべきだと思う。

 あの番組で、経歴詐称祭り以前からコメンテーターを続けていた人は、複雑だよね。だって、アナタはショーンKと同じくらいテキトーに選ばれた逸材なんですねって話だもの。ショーンKが夜ニュースのキャスターに起用されて騒動になったとき、フジ方面の知り合いに「ワタシもコーカソイド(白人)系に整形してキャスター目指すよ、『ショーンBen』って芸名で」と冗談言ったら不機嫌になられたけれど、その知り合いも認めてはいたもんね、「ワイドショー(の制作者)が意識低いのは昔っから。それが報道にまで拡がってきてるから怖い」って。

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