松屋が始めた「ステーキ屋松」 「いきなり!」に勝ち目はあるか?プロが食べ解く

ビジネス 企業・業界

  • ブックマーク

「いきなり!」ではなく「やっぱり」

〈「肉を食べたい!」というストレートな欲求に応えるのが「いきなり!」ならば、従来とは異なるアプローチの肉を提供するのが「松」ということになるだろうか。だが千葉氏は、本当に「松」が研究したのは「いきなり!」ではないと分析している〉

「松」のポイントである肉の柔らかさは、ミスジにあると述べました。実はミスジ肉を売りにしたステーキチェーンは、すでにあるのです。15年に沖縄・那覇からはじまった「やっぱりステーキ(以下やっぱり)」です。

〈関東にお住まいの方には、少し説明が必要かもしれない。現在、フランチャイズを含め県内に19店を構える「やっぱり」は、沖縄ステーキシーンにおける最大勢力。「いきなり!」も県内に3店しかないところを見るに、その優勢のほどがうかがえる(余談ながら、そのうちの1店は石垣島にある)。一時は「あっぱれステーキ」として県外にも展開し(現在は「やっぱり」に統一した模様。ややこしい)、名古屋や福岡、北海道などに13店舗を構えている。18年5月6日配信の「沖縄タイムス」(WEB版)記事によれば、出店を加速させ〈2020年度までに100億円を目指す〉というから、東京進出も時間の問題だ〉

「やっぱり」は溶岩プレートでミスジのステーキを提供しますが、「松」もこの形をとっていると紹介しました。松屋グループは昨年8月に、沖縄に初進出を果たしています。牛丼のほうではなく、とんかつの「松のや」ですが。私の予想では、沖縄出店が「松」を開発するきっかけとなったのではないでしょうか。

 ただひとつ気になるのは、「松」がミスジステーキを提供し続けられるのか、という点です。知人のステーキ店オーナーによると、ミスジはたいへん希少な部位だそうで、400キロの牛から3キログラムほどしか取れないといいます。スタート当初は200グラム1000円だった「やっぱり」も、現在は180グラム1000円と価格改定をしていましたから、今後はミスジの取り合い、なんてことになるかもしれません。

――こうした疑問を解消すべく、千葉氏は松屋ホールディングスに取材を申し込んだ。が、「まだ1店舗しかなくフォーマットが固まっていないため」との理由で回答は得られず。ただし「2、3店舗と増えていき落ち着いてきましたら、再度ご連絡をいただければ」と、店舗拡大への意欲は隠すことはなかった。

週刊新潮WEB取材班

2019年4月19日掲載

前へ 1 2 3 次へ

[3/3ページ]