「働き方改革」が国を滅ぼす――企業成長に停滞懸念、病院すらも“診療お断り”?

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能力が身につかない

「働き方改革によって、社員や企業の成長が滞ってしまいかねない、という懸念は、多くの企業の社長から寄せられています」

 と説くのは、経営コンサルタントの横山信弘氏だ。

「いまの40代、50代の社員は、若いころから長時間労働に慣れ、時間をかけたからこそ身につけられた能力をもっています。一方、入社したばかりの新人が最初から時短を目標にした働き方をして、はたして成長に結びつくのか、能力を開発できるのか、非常に疑問です。剣道に喩えれば、達人と呼ばれる人は、どこで力を入れるのか、どこで力を抜くのか、という判断ができます。始めたばかりの人は動きすぎてしまうものですが、徐々に無駄をそぎ落とすことで洗練されていく。でも、最初から“動かない”を前提にしていると、なにが必要な動きであるかさえ判断できません」

 改革の“痛み”として、他人の成長が、ひいては企業の成長が損なわれるとしたら、なんのための改革か。横山氏が続ける。

「若手のなかには、体力があるうちにバリバリ働いて能力を磨きたい、と考える人もいます。そういう人は、日本の企業では、残業を望んでも帰されてしまうので、より融通がきき、海外で働く機会が得られる可能性がある外資系企業に流れます。優秀な人材がどんどん外資に流れてしまうのは、大きな損失です」

 経済産業省はいま、「国際競争力強化」の旗を必死に振っているが、それを横目に、厚労省は、自身にも不可能な数字の達成に遮二無二突っ走る。あまりに滑稽だが、到底笑えない。

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