「令和」の発音は4種類! 菅官房長官と安倍首相で違う発音、一般的なのはどっち?

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安倍首相は「れいわ」か「れーわ」か?

 ところが、この「日本語は二重母音を避ける」という伝統が、最近は崩れつつあるという。

「その理由は2つあります。1点目は英語が義務教育で普及し、英語教育の低年齢化も進んでいるためです。『取る』という意味の“take”は、『てぇいく』と発音する。これを中学生の時から、何度も反復して覚えます。2点目は、近年のヒット曲に二重母音が目立つことです。2002年に平井堅さんが『大きな古時計』をカバーして大ヒットしましたが、『とけー』ではなく『とけぇい』など、ほとんどが二重母音でした」(同・山下教授)

 こうして元号なら「平成」を「へーせー」ではなく、「へぇいせい」と発音する若い人が増えているという。

「3つ目の理由に『Hey! Say! JUMP』の発音があるというのは、半分冗談ですが、半分は本気です。いずれにしても、二重母音が日本でもポピュラーになって来ており、そのために次世代の人々が『れぇいわ』と発音すると考えられます」(同)

 いずれにしても、令和における4つの発音パターンのうち、最も一般的なものは「leewa」(Lのれーわ)だ。そして山下教授は、菅官房長官と安倍首相の2人は、令和の発音がそれぞれ違ったと指摘する。

「何度も会見を伝える動画でチェックしましたが、菅官房長官は最も一般的な『leewa』を発音していました。一方、安倍首相はアクセントを最初の音節に置いた『rèewa』でしたね」(同)

 菅官房長官は、新元号が令和であるという発表を担った。まずは令和を全国民に紹介しなければならない。新元号は一拍の間、つまり“ポーズ”を置いて発音された。

「ポーズを空けたことで、令和の『れ』がフレーズの先頭に置かれました。こうして菅官房長官は一般法則通りのL音で『れーわ』と発音したわけです。菅さんと言えば、冷静沈着な女房役というイメージがあります。会見での発音は、そのイメージとぴったり合うものだったと思います」(同)

 続く安倍首相は会見で、令和の意味や歴史的経緯を説明した。太宰府があり、梅花の宴があり、大伴旅人が登場する。格調は極めて高い。そして言い間違いが許されない場所であることは言うまでもない。

「安倍首相は『テ“レ”ビ』のように、弾き音のRの音で『れーわ』と発音しました。これは舌が口腔の上に付く発音法です。極端にするとスペイン語になります。『オーレ!』と声に出してもらうと舌の動きが実感できるはずです。首相は英語が得意だと伝えられています。ひょっとするとローマ字表記の『reiwa』に引っ張られて発音されたのかもしれません。ただ基本的には『丁寧に発音しよう』という緊張感、そして国民に呼びかける高揚感などといった心理を読み解ける『rèewa』だったと思います。会見の終盤では落ち着かれたのか、菅官房長官のようにL音で『れーわ』と一般的に発音する時もありました」(同)

 安倍首相の「rèewa」は、日本語は二重母音を避けるという現在のルールには従っている。保守をもって任じる政治家に似合っていたわけだ。

 一方で、その発音は英語に引っ張られた可能性も浮上したことになる。この指摘、首相の外交姿勢を「従米ポチ」と批判する人々には、特に興味深く響くのかもしれない。

週刊新潮WEB取材班

2019年4月3日掲載

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